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22日 12月 2024
多才な能楽師である安田登が「うたで読む日本のすごい古典:安田登:講談社」で、和歌の素晴らしさを語っている。和歌はミュージカルにおける歌のような存在で、何度か読み、うたってみて、和歌を「体に染み込ませ」ていくと、それまで無味乾燥だと感じていた古典文学が、彩り豊かなキラキラとした世界に変わりうると言う。中でも面白いと感じたのが「枕詞」についての記載だ。枕詞を脳内ARと呼んでいるという。拡張現実ARとは、現実の風景の上にバーチャルなものを重ねて見るような技術を指す。つまり、枕詞を聴くだけで、情景が脳内に浮かび上がる。例えば、枕詞「久方の」と謡い出すと、そこに「空」や、そらに浮かぶ「月」や「天女」などが出現する。その中から、たとえば「天女」をバーチャルな手でつかんで自分の中に入れる。そうすると「天つ少女の羽衣なれや」という謡が出てくるという。算盤を習った人が暗算するとき、空中にバーチャルな算盤を置いて暗算をするのも脳内ARなのだ。枕詞をウィキペディアで調べると、何と200以上もあるのだ。せめて2~3は、使い熟せるようにしたものだと思う。
21日 12月 2024
今年も1年がアッという間に過ぎ去ろうとしている。もうすぐ正月だ。正月と言えば、昔は百人一首で遊んだものだ。でも、今では坊主めくりをする子供すらいない。そんな時「百人一首がよくわかる:橋本治:講談社」が目に留まった。面白い現代語訳で有名だ。自分が子供の頃にこの本があったら、もっと百人一首を好きになっていたかもしれない。百人一首の最初の歌の作者は何故天智天皇なのかが書いてある。歌は「秋の田のかりほの庵の苫をあらみわが衣手は露にぬれつつ」で、現代語訳は「秋の田の刈り入れ小屋はぼろぼろでわたしの袖は濡れっぱなしさ」だ。大昔の天皇はぼろぼろの小屋に寝泊まりして稲刈りをしてたのかという気分になる。ところが、伏線があると言う。天智天皇が死ぬと壬申の乱が起きて、天智天皇の息子の大友皇子と、弟の天武天皇が争う。結果は天武天皇が勝って、奈良時代の終わりまで天武天皇の子孫が天皇になる。しかし、その系統が絶えて、再び天智天皇の孫が天皇になる。それが、平安京を造った桓武天皇の父で、そのため天智天皇は「平安時代の天皇の先祖」という扱いを受けた。だから、百人一首の最初が天智天皇になるのだと言う。因みに、著者は「昔の天皇はこういう苦しい労働を体験していてくれたんだという願望の元に、作者として天智天皇?との名が付けられたのだろうと憶測している。時代背景も考慮すると、実に奥が深い。
20日 12月 2024
三菱UFJ銀行の支店の貸金庫から十数億円超の顧客の資産が盗まれた。何と犯人は貸金庫の鍵の管理者だったという。三菱UFJ銀行は「人事の見誤りではない。少し管理が不十分だった」と釈明したが、釈明になっていない。銀行の貸金庫の安全性は絶対的なものだったのに、根底からひっくり返された。信用第一の銀行業にとって、絶対にあってはならないレベルの事件なのに、反省がなさ過ぎる。一方で、三菱UFJ銀行の副支店長が強要未遂罪で起訴された。副支店長が6代目山口組組長の「司忍」などと騙り、顧客企業を脅していた事実が発覚した。貸金庫の窃盗よりも質が悪い。週刊文春はこの他にも、高齢富裕層へのハイリスク商品を売るための研修資料の存在とか、経営トップらが立て続けに軽井沢の物件を購入している実態や、暗雲が垂れ込める4トップ交代人事まで企業体質の実態を報じている。魚は頭から腐るというが、この諺は三菱UFJ銀行のためにあるようだ。これを機に、三菱UFJ銀行は魚頭腐銀行とでも行名変更した方が良い。
19日 12月 2024
ホンダ・日産が統合へとの報道。持ち株会社を設立し将来的に三菱自動車も合流するという形で世界3位の自動車メーカーとなる筋書きだ。でも、二流、三流、四流のメーカーが合流してたからと言って一流になれるのだろうか。ホンダ・日産の関係は、3月に提携検討から始まり、8月には協業の覚書となり、今回は経営統合まで一気に進んだ。でも、日産の業績は赤字に陥った。内田社長は「稼げる車がない」と発言し、匙を投げている。だからといってホンダに日産を蘇させる能力は無い。元々両社が統合したからと言って再生の道など無いのだ。偶々、鴻海が日本政府に日産を買収出来ないかと声を掛けたのが引き金だ。鴻海は、米アップルのiPhoneを受託生産している。ビジネスモデルはCDMS(設計・製造受託サービス)だ。iPhoneと同様にEVでもCDMSを強化したい考えた。そこで窮地に陥っている日産に目を付けた、ということだろうと思う。ホンダ・日産の統合はビッグニュースだが、風が吹けば桶屋が儲かるの諺を彷彿とさせる。失敗するに決まっている。
18日 12月 2024
経産省の有識者会議が、国の中長期のエネルギー政策の方針となるエネルギー基本計画の改定案を公表した。福島原発事故以降、政府は原発依存度を可能な限り低減させる方針を取っていたが、原発を推進する方針に大転換した。確かに、現在の日本の電力は火力が7割を占める。脱炭素から言っても、コストの面から言っても、問題はあるのが現実だ。だからといって、原発を推進すべきなのだろうか。日本は、福島原発事故で現地の人は故郷を失い、原発安全神話も完全に崩壊した。その後、安全強化対策がとられたとはいえ、まだまだ不十分だ。能登地震では、大きく報道されていないが志賀原発があわやの危機に陥った。佐賀の玄海原発では落雷により、オフサイトセンターが機能不全に陥った。原子力規制委員会は、一時は機能していたが、今では原発推進派が占め機能していない。更に、経産省の有識者会議も原発推進派で占められている。このまま進めば、第二の原発事故が起きることは間違いない。今こそ、地熱、洋上、水力等の発電方式を見直し、改良する時期が来ていると思う。
17日 12月 2024
OECDが発表した「国際成人力調査」で、日本は前回に引き続き世界トップ水準となった。しかし同じ世界トップのフィンランドが「世界幸福度ランキング」でもトップとなっているのに、日本は先進国の中で最低ランクの47位という状況にある。国際成人力調査とは、成人が実社会で生きていく上で必要な総合力を成人力と定義し、それを読解力、数的思考力、問題解決能力の3分野について数値化して順位付けしたもの。日本とフィンランドの違いは何なのだろう。「フィンランドの高校生が、学んでいる人生を変える教養:岩竹美加子:青春新書」によると、フィンランドの学校は「自分の頭で考える」ことを教えるが、日本の学校は「自分の頭で考えず丸暗記することだけ」を教えているとのこと。山田進太郎D&I財団石倉秀明COOは「日本人が仕事が出来ないのは、学生を採用する管理職が高度人材の使い方を分かってない。学歴と仕事のミスマッチが起きている。管理職こそリスキリング必要だ」と指摘している。また、日本生産性本部が発表した2023年の日本の時間あたり労働生産性は、OECD加盟の38カ国中29位だった。自分の頭で考える人材をフルに活用することが出来れば、自ずから世界幸福度ランキングも上がっていくに違いない。
16日 12月 2024
自民と立民が、使途公開が不要な政策活動費を全面廃止することで合意した。これで政治と金の最大のブラックボックスが消滅する。今後政党や政治団体の支出はすべて使途の公開が必要となる。あれほど廃止に抵抗していた自民をねじ伏せたのは、少数自民に対し野党が一致団結した結果といえる。やっと正常な国会に戻ってきたと思う。今後は、残る4法案の成否に注目だ。企業・団体献金の禁止法案に加え、国会議員関連の政治団体から、政治資金の支出の公開基準が緩い後援会など「その他の団体」への資金移動を制限する法案や、国会議員が政治資金を親族に引き継ぐことを制限する法案などだ。企業・団体献金については、来年3月末までに結論を出すことと先送りした。このブログ「企業・団体献金禁止の攻防」にも書いたが、野党は企業献金か公的助成かの選択を迫り、企業献金廃止に持ち込むべきだと思う。
15日 12月 2024
環太平洋経済連携協定TPPに英国が加わった。英国の加入によって人口5億8000万人、世界の国内総生産GDPの15%を占める経済圏となった。地理的にもアジア太平洋から欧州に枠組みが広がった。日英は既に経済連携協定EPAを結んでいるので、今回の協定で日本からの輸出では精米やパックご飯などの関税が撤廃され、英国からはバターや脱脂粉乳などの関税が下がる。英国には、今回の加入によって長期的には英経済に年約3900億円の押し上げ効果があるという。協定はモノの関税引き下げだけに留まらず、サービスや投資の自由な取引を促進する。保護主義的な動きがある中で、英国の加入により自由でルールに基づく貿易といった価値観を日本と共有する仲間が増えたことは価値が有る。TPPには更なる拡大が求められている。だが、米国はトランプ時代に保護主義を徹底し撤退した。一方中国は加入を申請しているが、TPPの高度な加盟条件を満たせる見込みは現時点では殆ど無い。中国の加入申請は、台湾の加盟を阻止し、マレーシアなどアジアの加盟国に対するTPPの求心力を弱める狙いがあるからだといわれている。いよいよTPPは米中を除く経済大圏に生まれ変わろうとしているようだ。
14日 12月 2024
自民、公明、国民の3党がガソリン税の暫定税率廃止で合意した。国民が自民に予算承認をエサにトリガー条項凍結解除を迫っていたのに、どういう訳か、自民がもっと大元の暫定税率廃止を容認した。1リットルあたり53.8円のうち上乗せ分が25.1円を占める。暫定税率廃止でガソリンは175円が165円程度になる。しかし、年収の壁と同様に約1兆5000億円の減収となり、地方財政への措置が必要だ。そもそも、暫定税率とは1973年からの第7次道路整備計画で、予算確保の副次的な財源として始まったものだ。それが2008年に政府と自民が道路特定財源の一般財源に変えてしまったのだ。この時点で、暫定税率の存在意義が曖昧になり、暫定税率という名の恒久税率に変身したのだ。日本の税はこの種の変身が多い。トリガー条項も、本来はガソリン価格を安定させるための措置だったが、東日本大震災の復興財源に変身させられてしまった。日本の税制は歪みが大きい。食いついたら離さない財務省の体質もあるが、それを制しきれない政治に根本的な問題があると思う。
13日 12月 2024
シュウカツを始めた。シュウカツと言っても就活ではない。終活の方だ。まず手始めに使っていない銀行口座を解約することにした。義母が亡くなった後、手続きなどで難儀した。自分の子供たちに同じような面倒を掛けたくないと思ったのが、終活の始まりだ。50年くらい前、会社の給与が銀行振り込みになり、転勤先でスルガ銀行の口座を開設した。でも、もう20年以上使っていない。解約するには開設した支店に行けば良いのだが、遠すぎる。開設支店に行かなくても地元の取引銀行で解約出来ることを知った。取立という方法だ。紆余曲折はあったが、なんとか手続きまでは進んだ。三井住友銀行も解約することにした。1年前に新ビルに開店した支店だが、無用に広い通路があったりしてレイアウトが悪い。窓口の周りは、OLIVEのポスターが100枚以上びっしりと貼ってある。選挙事務所じゃあるまいしと思った。非常にセンスの悪い銀行だった。それでも手続きはスンナリと済んだ。まるで自分が手続きをしたように書いたが、現実は違う。全てカミサンが調べ、準備して、折衝したのだ。自分は、身分証明書を見せるだけの役割だけだった。何年後かに自分が認知症になっていたらと思わせる経験であった。

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