31日 5月 2024
「お金に色はない」という言葉がある。良いことをして得たお金でも、悪いことをして得たお金でも、同じ額面なら同じ購買力があるからだ。お札が入れ替わっても、額面が同じなら価値は不変だ。ところが、同額でも付加価値が変わるケースもある。鎌倉のカヤック社長が電子マネーで地域通貨の実証実験をしている。単なる地域限定の商品券ではなく、お金では測れないものを測る「別の価値の尺度」を提供することを目標に掲げている。たとえば、海岸のごみ拾いに参加するとコインがもらえ、それを使って市内で収穫された規格外の野菜を買える。通貨といっても用途は限定されるが、海をきれいにした上で食品廃棄も防げるなど、単なる財・サービスの交換以上の価値が生まれる仕掛けだ。社長が目指すのは、流通量が増えるほど地域の人間関係が豊かになっていくような新しいお金だ。鎌倉市内の利用者は1万人を超え、全国20自治体以上で展開しているという。全国津々浦々に展開すると、日本中が見違えるほど生き生きとした社会になるに違いない。
30日 5月 2024
栃木県那須町で高校生8人が亡くなった7年前の雪崩事故の裁判で、指導した教諭ら3被告に実刑判決が言い渡された。当時、現場は雪崩が起きやすい場所であることは山男にとって常識であり、ビーコンなどの装備も不備で、緊急時の連絡体制も不十分だったと報道されていた。栃木県高校体育連盟の主催の春山安全登山講習会としては随分杜撰な雪山訓練だと感じたものだ。7年もの歳月を掛けた裁判で実刑判決が下されたのだから、被告に落ち度があったのは間違いないのだろう。亡くなった高校生の親たちは、これで一区切り着いたことだろうと思う。それは、それで良かったが、果たして判決内容は妥当だったのだろうかとも思うのだ。雪崩に遭遇した先頭の班の教諭は登山初心者だったのに適切な指導が出来たのだろうか。ビーコンなどの装備を備える予算はあったのだろうか。責任者は宿の清算中で無線機を携帯していなかったが、一時の不携帯でも責任が問われるのだろうか。判決理由が後付けのように思えてならない。予期は出来るが現実には起きると思われない事故に対し、誰が何処まで責任を負えるのだろうか。福島原発事故では、明らかに責任のある東電幹部が無罪になった。でも、この雪崩事故では全員有罪だ。自分は真実を知らないから、その是非は問えない。でも、大いに矛盾を感じるのだ。
29日 5月 2024
政治資金規正法の改正案がまとまらない中で、次々と抜け穴が発覚しつつある。茂木方式と岸田方式は「脱法パーティーの常習犯は誰」に書いた通りだ。茂木方式とは、収支の公開基準の厳しい国会議員関係政治団体から、基準の緩いその他の政治団体に資金を移して使途を隠す方式。岸田方式とは、任意団体主催の形でパーティーを開き、収支を公表せずに収益の一部を寄附させる手法だ。今度は、租税特別措置法を悪用した脱税だ。租税特別措置法では、個人が政党や政党支部などに寄付した場合、寄付額の約3割が税額控除されるか、課税対象の所得総額から寄付分が差し引かれる。この法律は、個人の政治献金を促すのが目的で、政治家の脱税のために作られたものではない。脱税の手口はこうだ。政治家が自身を代表とする支部に寄付し、還付金を懐に入れる。更に支部から政治家個人に寄付させ環流させるのだ。本来は収入として記載すべきお金を隠して、それを原資にして税優遇を受けると言うスキームはマネーロンダリングそのものだ。菅家一郎元副復興相、稲田朋美幹事長代理、平井卓也広報本部長、福岡資麿参院政策審議会長らが、やり玉に上がっている。最早自民党全体に広がっていると見るべきだろう。またまた「秘書のやった事で、全く知らなかった」とでも、弁解を繰り返すのだろうか。ここまで来ると、政治献金もパーティーも全面禁止にするしか残された道は無さそうだ。
28日 5月 2024
昨夜22時46分にJアラートが発令され、スマホがけたたましく鳴りビックリした。「ミサイル発射。北朝鮮からミサイルが発射されたものとみられます。建物の中、又は地下に避難して下さい」という内容だ。果たしてJアラートを発令する必要はあったのだろうか。北朝鮮は、日本側に軍事偵察衛星となる人工衛星の打ち上げを事前予告していた。そしてNHKは「北朝鮮から海上保安庁に対し、27日から来月4日までの間に人工衛星を打ち上げると通報がありました。落下が予想されるのは、いずれも日本の排他的経済水域=EEZの外側にある黄海や太平洋の3つの海域で、海上保安庁は航行警報を出して注意するよう呼びかけています」と報道していた。しかもNHKは、国内向けには「ミサイル」と報じ、海外向け英語ニュースでは現実に即して「サテライト(衛星)」と報道したのだ。明らかに、Jアラートは執拗に国民の危機感を煽っているのだ。真面な政府であれば、事前に発射がわかっているので「こんな予告が出ていますよ」と落ち着いて繰り返し広報するほうが、夜帯に突然Jアラートを発令して人々を驚かせるよりも、よほど国民を保護出来るというものだ。多発するJアラートの空振りは、オオカミ少年の轍を踏むことになりかねない。
27日 5月 2024
世界的にEV需要が落ちているという。航続距離が短い、充電スタンドが少ない、充電時間が長すぎる、等の短所があるからだ。なかでも問題なのが充電時間だ。ガソリン給油であれば3~5分だが、EVは数時間以上かかり、急速充電器を使っても30分はかかる。ところが、5分で充電出来るシステムが登場したとのこと。バッテリーごと交換してしまうシステムだ。米スタートアップ企業のアンプルが開発したものだ。2レーン分あるので、1日に50台程度の交換に対応出来るという。エネオスなど3社が、EVの駆動用バッテリーをその場で交換する全自動交換ステーションの実証設備を京都に開設した。協賛するタクシー大手のエムケーホールディングスがステーション用地を提供し、バッテリーを交換できるようにリーフのタクシーも改造したとのこと。今後順次リーフ以外の国産EVなどの適合性検証も行う予定とか。この手があったのかと思った。充電時間をガソリン並みにするには相当時間がかかりそうだ。野球で言えば、中継ぎ投手としてもピンチヒッターとしても有望だ。窮すれば通ずるのだ。
26日 5月 2024
自民党の裏金問題の再発防止策として、立憲民主党は企業団体献金と政治資金パーティーを禁止する法案を提出した。ところが、岡田幹事長と大串選対委員長が、その最中で政治資金パーティーを開催する予定がバレ、騒ぎになっている。当初泉代表は法案が成立した場合の施行日まで、パーティーの開催を容認していた。だが、党内の反発が強く、若手からパーティー中止を求める提言書が党に提出された。勿論、世論も「政治資金パーティー禁止法案を提出しながら、施行日まではOKとは何事だ」と批判の嵐だ。そこで、泉は急遽岡田と大串に開催の自粛を求めたとのこと。ところが、岡田は「企業団体献金は政治が歪むおそれがある。企業団体献金を禁止し、個人献金に切り替えていく。しかし、今回は自分は開催を止めたが、立憲民主党全体が止める訳ではない。立民だけが止めれば己を縛ることになる。パーティーを全部止めたら、その途端に政治活動を大幅に縮小しなければいけない」と、政治資金パーティーに肯定的だ。泉の「施行日まではOK」という考え方も、腰が据わっていない。自民に反省する気持ちがあるのかと非難されているが、立民にも同じ事が言えそうだ。政治改革は全く期待出来そうもない。懲りない連中だ。残念。
25日 5月 2024
政府が、内閣官房報償費(機密費)について、歴代の官房長官の支出状況を確認する考えはないとする答弁書を閣議決定したとのこと。内閣官房報償費は、官房長官の判断で支出される経費で領収書が不要で、会計検査院による監査も免除されており「権力の潤滑油」とも言われている。昔から選挙支援や餞別やマスコミと野党の口封じや私用への転用や、ありとあらゆるものに使われ、その都度使途が問題視され追及されてきた。今回は元官房長官が国政選挙の陣中見舞いに機密費を使ったと証言したと中国新聞が報じたことで野党が追及したため、答弁書をわざわざ閣議決定したのだ。政府は「自らの責任と判断の下に、厳正かつ効果的に執行している」としているが、そうではないから問題なのだ。一定期間を設け、後日必ず公開する仕組みに改正すべきだと思う。内閣の閣議決定には、いつも胡散臭さを感じる。安倍元首相が「首相夫人は公人ではない」と閣議決定したのが典型例だ。首相夫人は公人でもあり私人でもある。それを力技で「公人ではない」と組み伏せてしまう。一方で岸田は、国会討論もせずに自衛隊の軍隊化を閣議決定してしまった。今まさに閣議決定の在り方が問われている。
24日 5月 2024
量子科学技術研究開発機構との国際共同研究グループが、レーザー光によるイオンビーム発生で世界最高速度となる光速の約50%を達成したと英科学誌ネイチャー・フィジックス電子版に発表した。粒子線がん治療は大規模な加速器と専用の建物が必要で、普及を妨げる要因の一つとされている。この研究で、大規模な加速器を使わずレーザー技術のみでがん治療に必要な速度のイオンビーム発生が期待出来るのだ。超小型の粒子線がん治療装置の実現につながることになる。レーザー光の条件を最適化しイオンを多段階で加速させる手法を用いたという。第1段階はレーザー光を照射した薄膜の前面でイオン群が加速。第2段階は薄膜の裏面側に残ったイオン群が自ら作る電場により加速が進む。第3段階は先に加速したイオン群が後から生成したイオン群との反発力でさらに加速する、という原理とのこと。従来のX線は入り口の線量が最大で深くなるほど減弱してしまう。だが、粒子線はがん病巣を狙い撃ち出来、有効性も高いが、更に周辺の正常組織への影響も小さくなる。夢の粒子線がん治療は、もうそこまで来ている。
23日 5月 2024
昨日は、野宮神社から始まり祐斎亭と宝厳院を回り、カミサンの要望で東映撮影所見学をした。祐斎亭の料金は割高だったが、保津川を見下ろすテーブルで長閑な時間が過ごせた。東映撮影所では大部屋女優がガイドとなり裏話を披露してくれた。池に落ちるシーンでは、大部屋俳優は汚く冷たい池にそのまま落ちるのだが、野村萬斎などの大俳優の場合は、池を大掃除し温水を入れるとのこと。ガイドの説明が撮影の実態を実感させてくれた。今日は、カミサンが登りたがっていた南禅寺の三門に登り五右衛門の気持ちを体験した。その後、天授庵、無りん庵、京都市京セラ美術館の村上隆展、平安神宮を回った。無りん庵は山縣有朋の元別荘で、庭園が国の名勝に指定されている。東山を借景とすることで有名だ。この庭園で長年庭師をしている女性が見所を説明してくれた。説明が有ると無いとでは大違いだ。庭を観る目が変わってきた。興味深く散策出来た。村上隆展の規模の大きさに驚いた。緻密な作品に感嘆した。やはり尋常な人物ではないと感じた。久し振りの旅行で心身共にリフレッシュした。
22日 5月 2024
昨日から我が家恒例の京都旅行だ。今回は大河ドラマで注目の紫式部所縁の地巡りがメインになった。昨日は紫式部が源氏物語の着想を得たと伝えられている石山寺。大河ドラマの放送に合わせ「大河ドラマ館」と「恋するもののあはれ展」が開催されていた。石山寺は、紫式部だけでなく、蜻蛉日記の藤原道綱の母や更級日記の菅原孝標女も参詣した文学の寺だ。何となく親しみを感じた。今日は、まず源氏物語の賢木の巻に出て来る嵯峨野の野宮神社を目指した。通勤時間帯を外し、京都駅から旧山陰線に乗った。多少混んでいたが、最初の2駅でほぼ通勤客は下車し、立っている人もいなくなった。嵯峨嵐山駅に到着し、早めに改札口に着くと、後から後から外人がボウフラのように湧いてきた。結局、乗客の殆どが外人だったのだ。改札を出ると、外人の集団は、野宮神社へと続く竹の道方面と嵐山駅方面に分かれた。竹の道は外人で溢れかえっていた。野宮神社付近では大渋滞だ。英語でもない独仏語でもない、中国語でもない、韓国語でもない聞き慣れない外国語が、あちこちで聞こえてきた。外人は他人を気にしないから、気ままに道を塞ぐ。困ったものだと思ったが、その時「バベルの塔」を思い出した。天にも届く神の領域まで手を伸ばすバベル塔を建設しようとしたことに怒った神が「同じ言葉を話すのでこんな事になる。人々の言語を乱し、通じない違う言葉を話させるようにしてしまおう」と言った逸話だ。いま日本ではオーバーツーリズムが問題になっている。まさに実感した。ひょっとすると、日本は神の領域に近づき過ぎたための反動なのかもしれないとも思った次第。