カテゴリ:202306



30日 6月 2023
新聞社の責務とは何なのだろうか。基本は真実を正しく伝えることだと思う。更に、単に客観的報道をするだけでなく、問題を解決するための事実を集め、読者に問い促す課題解決型報道こそ、新聞社の責務の極致だと思う。そんな例がある。富士川を長期取材した静岡新聞だ。事の発端はサクラエビ漁の異変だ。1960年代の最盛期には年間7000トン超、2000年でも2000トン超だった漁獲が、2018年以降100~300トンに落ち込んだ。温暖化の影響では説明がつかない。まずは富士川の上流で問題になっている堆砂問題から始まった。国策民営会社の日軽金の雨畑ダムの管理不良で、総貯水量以上の土砂が堆積し、雨畑地区で浸水被害が起きた。でも国交省は問題を先延ばしした。更に日軽金の子会社はダムの堆積土砂を使って砕石製造を行っていたが、砕石後に出てくる濁水に凝集剤を混ぜた汚泥を富士川に垂れ流ししていた。この投棄とアユとサクラエビの不漁の時期が一致していた。しかし、山梨県は業者に対して行政指導のみで刑事告発をしなかった。富士宮市議会と富士市議会が国と県に河川環境の改善を求める住民の請願を採択し、不法投棄が止んだ3年後にアユとサクラエビが戻り始めた。更に日軽金が過去35年間にわたり大幅な不正取水を行なっていたことが判明。結局80年間も続けられた不正行為が、静岡新聞の取材・公表で断ち切られたのだ。静岡新聞の「川は誰のものか」「海は誰のものか」の切り込みが、サクラエビ漁を復活させたと言える。まさに課題解決型報道の手本なのだ。
29日 6月 2023
中学・高校の世界史の授業で思いで深いのは「くさび形文字」だ。半世紀以上前に習った時は、解読が出来ていないとのことだった。でも未だに解読は進んでいないようだ。ところが、イスラエルの考古学者とコンピュータ科学者が今流行りのAIを使って翻訳にトライするとのこと。アッカド語の「くさび形文字」は、古代メソポタミアで紀元前3000年頃から使われていた言語だ。アッカド語は紀元前2000年頃に、バビロニア語とアッシリア語という二つの方言に分かれ、紀元前6世紀頃からはアラム語に取って代わられ、徐々に消滅してしまった。現存する石板は50万枚近くあり、その大部分が解読されていないという。解読が進めば、人類の歴史のもっとも初期、アッカド人の文明や信仰、そして彼らが何を話し、何を書き留めようとしたのかを知ることが出来る。しかし、AIで解読するといっても、問題は山積みだ。デジタル化された石板は数万枚しか無い。AIに学習させるには少な過ぎるのだ。またアッカド語が存在した3000年間に文字自体が大きく進歩し、初期と後期ではくさび形文字自体が異なるのだ。更に、言語の構造が英語とは根本的に異なるのも厄介だ。それが一語ごとの翻訳を不可能にしているので、文の要素を再構築しなくてはならない。でも、解読作業はAIの得意分野だ。成功すれば、世界史が生まれ変わるかもしれない。
28日 6月 2023
日本にも「東西の壁」が存在するという。場所は米海軍厚木基地の南。広さ30ヘクタールを超す大公園の中央に「東西の壁」がある。壁を隔てて、大和ゆとりの森と綾瀬スポーツ公園がある。大和ゆとりの森は、その名の通り大和市に属し、綾瀬スポーツ公園は綾瀬市に属している。両公園の境は長さ約700m。植栽とフェンスで分断されている。フェンスは前大和市長時代の2015年に「両市の管理区分を明確にするため」に設置されたとのこと。市民は不便さを訴えている。大和市長が代わり、フェンス撤去に前向きな姿勢を示しているという。市長は市民からフェンスの設置目的を尋ねられると言葉に詰まり「綾瀬市と大和市が、いろいろありましてね」とお茶を濁したという。その「いろいろ」については言及しなかった。綾瀬市と大和市が仲が悪いのは間違いない。結局、縦割り行政の弊害なのだ。行政の意地が市民に不便をかけているのだ。長野市の公園廃止のような判断ミスに陥らなければ良いのだが。何処の行政も、市民ファーストとは程遠いようだ。
27日 6月 2023
バイデン米大統領が6月20日支援者集会で「日本の防衛費倍増について、私が岸田を説得した」と語った。この集会でバイデンが発した「習近平は独裁者」発言が世界中のマスコミで大きく取り上げられたので、その時は「岸田を説得」発言は小さなニュースだった。でも、日本では大きなニュースとなった。当時岸田が防衛費倍増と言い出したのは唐突だった。しかも増税で補うと言ったのだから蜂の巣をつついたような騒ぎになった。国会では、野党が「増額は対米公約か」と迫ったが、岸田は「我が国の防衛費は我が国が主体的に決めるもの。決して対米公約ではない」と否定していた。防衛費の大枠を示したものの、肝心の中身はスカスカ。必要な装備や人員などにかかる経費を具体的に積み上げた額ではない。日本の国民なら誰でも憶測出来る。岸田はバイデンに強制させられたのだと。自分も瞬間的にそう思った。ところが、バイデンは27日になって「岸田は既に決定しており、説得は必要ではなかった」と修正した。何のことは無い。松野官房長官がバイデン発言は「防衛費増額は日本自身の判断」とする政府の立場と相いれないとして異論を申し入れたからだ。これは嘘の上塗りになる。政府はまたまたバイデンに借りを作ってしまった。益々米国の言いなりになる土壌が出来てしまった。岸田には、しっかりした後見人が必要だ。
26日 6月 2023
仏教では、人は亡くなってから49日間裁判を受けて転生が決まり、霊から仏になって骨はお墓に入る。即ち殆どの人々は、49日後に転生が始まることになる。と言うことは、お墓には骨が納められるだけで、転生した仏は入っていないということになる。日本のお墓の中には、先祖や父母の仏はいないのだ。お墓はモニュメントであり、モニュメントを通して亡き人々を思い馳せるものなのだ。和尚さんが言っていた。お墓に水を掛けるのは、死に水と同じで、死者のよみがえりを願う儀式とのこと。では、海外ではどうだろう。9.11の犠牲者を偲んで「千の風になってDo not stand at my grave and weep」が歌われた。その詩には「私のお墓の前で泣かないでください そこに私はいません 千の風になって あの大きな空を 吹きわたっています」とある。キリスト教が主流の米国においても、亡くなった人はお墓の中にはいないのだ。自分の父や母が亡くなった30年前ころは、お墓の中に魂はいると思っていた。だが、義母の葬儀を通して77歳にしてお墓の存在意義を知った次第。
25日 6月 2023
昨日の四十九日の続き。日本の仏教宗派の数は多いが、殆どの宗派は四十九日で霊から仏になりお墓に入る。四十九日の間、故人はネチネチと毎週裁判にかけられるのだから、死んだ後も苦労する。でも、四十九日を待たずに、即仏になれる宗派もある。浄土真宗だ。浄土真宗と言えば、親鸞の「善人なおもて往生す、いわんや悪人をや」が有名だ。この悪人とは犯罪者のことではない。自分は悪い行いをしたと自覚していて、それでも仏様にすがって極楽に行けるように願っている人のことを指す。悪行をしても、一心に仏様にすがれば極楽に行けると発想転換したのが親鸞の浄土真宗だ。だから、各宗派の中で浄土真宗の信者数が最も多いのだ。因みに、1位が浄土真宗の西本願寺派792万人で、2位は東本願寺派791万人で、3位は浄土宗602万人で、浄土真宗が飛び抜けている。西本願寺派と東本願寺派に分かれているのは、徳川家康が大名より勢力のある浄土真宗の分断を図ったからとのこと。一方で最近では無宗教派が増えている。我が家も無宗教なので、葬儀は献花だけとし、墓は流行りの樹木葬にしようと考えている。自分は分骨して平塚の海に海葬してほしいと望んでいる。子ども達が墓参りなどするよりも、平塚の海を見たときに、ここに居るんだなあと思ってくれれば、それだけで充分だと思うのだ。
24日 6月 2023
早いもので今日は義母の四十九日だ。無事納骨も済んだ。義母の家系は元々日蓮宗だったはずだが、お寺は曹洞宗に替わった。葬儀の日に初七日も済ませるのが当たり前の時代になっている。そこで、そもそも初七日って何?何故納骨は四十九日なの?との疑問が湧いた。調べてみた。仏教では亡くなると輪廻転生を繰り返して徳を積み、極楽浄土を目指すと信じられている。亡くなってから49日後に生まれ変わりの行き先が決まる。霊はこの49日間、現世と来世の間を彷徨っているのだ。その行き先がどこになるかは、七日ごとに行われる裁判で決まる事になる。初七日は、不動明王によって生前への未練が断たれ、生前の殺生について調べられる。その裁判の結果、三途の川が激流か緩流か、橋の上を渡れるかが決まる。二七日は、三途の川を渡った後、奪衣婆に衣服を剥ぎ取られ、釈迦如来によって生前の盗みについて調べられる。三七日は、文殊菩薩に生前の不貞について調べられる。四七日は、普賢菩薩に生前嘘をついたかどうかを調べられる。五七日は、閻魔大王が裁いて六道のうちどこに輪廻転生するかを決定する。六七日は、弥勒菩薩が生まれ変わる細かい条件を決める。そして七七日に、薬師如来の最終判決が下る。故人の来世がどうなるか最も大切な最後の裁判なので、親戚中の人々を集めて大きな応援を送る。七七日即ち四十九日とはそういう日なのだそうだ。もしここでも決まらなかった場合、百ヶ日の時に観音菩薩、一周忌の時に勢至菩薩、三回忌の時に阿弥陀如来による追加の審理が行われるとのこと。恐らく、義母は四十九日に人間道へ転生したと思う。
23日 6月 2023
キムタクがテレビCMに引っ張りだこだ。カローラから日産に乗り換えたときは、道義上良いものかと思った。でも、上手くいっている。ひるまックではマクドナルドのイメージチェンジに成功した。でも、タウンワークの頃から扮装に凝り出した。その究極がオープンハウスだ。何とモグラになった。オープンハウスは首都圏に強い大手格安ハウスメーカーだ。オープンハウスは、梁と柱を組み合わせる「木造軸組み工法」で家を建てている。地震に強いエンジニアリング・ウッドを使っているのが特徴だ。最低限の標準装備であれば、1,000万円~1,500万円程度で家が建ってしまうローコスト住宅としても有名だ。業績は好調で、直近7年間の売上高成長率は平均30%を超えている。ところが。そのオープンハウスには欠陥トラブルの告発が相次いでいるという。基礎が傾いている、シロアリが発生した、壁のクロスが剥がれる、台所の床に柱が無いので傾いて冷蔵庫のドアが閉まらない、外壁に穴が開いていて雨漏りが心配、等々。元々住宅産業はクレーム産業と言われるだけあってクレームが多いのは事実だ。それにしても、オープンハウスは安かろう悪かろうを地で行っているように見える。さて、モグラのキムタクは、地上に出た後、オープンハウスから去るのだろうか。それとも再び地中に戻りCM出演を継続するのだろうか。
22日 6月 2023
マイナンバーカードのトラブルが頻発している。健康保険証に紐付けたものの、認証が出来ず診療がストップしたとか、コンビニで住民票を取得しようとしたら、他人名義の住民票が出てきたとか、トラブルが尽きない。どうも単なる初期トラブルでは無さそうだ。とうとう内閣支持率まで下落し、岸田が慌ててコロナ並み体制を敷くとまで言い出した。河野デジタル相はビデオメッセージで謝罪した上で、コンビニの問題が解決するまでサービスを停止する指示を出した。このサービス・システムを構築したのは富士通Japanだ。富士通は典型的なITゼネコンだ。Windows95を設計した中島聡氏は「国がITゼネコンに丸投げしたのが諸悪の根源だ」と指摘している。この種の仕事をITゼネコンに丸投げするのは、国の常道だ。でも、ITゼネコンは仕様書の作成と工程管理のみを行い、実際のコーディングは下請けや孫請けに丸投げする。まさにゼネコンスタイルなのだ。しかし、どんなに優秀なソフトウェア・エンジニアでも、実際にコードを書かずに良い設計をすることは不可能で、コードを書きながら設計を変更し、徐々に良いものに仕上げていくプロセスが必須なのだと指摘している。結局、国がITゼネコンに丸投げすることで、出来損ないのシステムが出来上がり、IT投資の大半はITゼネコンに流れ込む。中島聡氏はこの解決策を提言している。河野デジタル相は中島聡氏と会談し、早く目を覚ますべきだと思う。
21日 6月 2023
入管難民法改正案の採決が行われた参院法務委員会で、山本太郎れいわ新撰組代表が採決を阻止しようとして自民党議員2名にケガを負わせた。問題視した自公立民5党が懲罰動議を提出。ところが、参院議院運営委員会は理事懇談会で、懲罰を審議しない方針を決めた。石井議運委員長は、懲罰を審議しない理由として山本氏から反省の言葉があったとした。だが、山本本人は「楽しみにしていますとはいったが、反省しているとは一言も言っていない」と言っている。反省していないのに5党の懲罰動議を退けたのだ。まことに参院の不思議な出来事だ。国会では全てが万事このように物事が進んでいるようだ。でも、これは些細な出来事だ。問題は入管難民法そのものにある。日本が難民条約を批准したのは1981年。もう40年が過ぎた。だが、難民認定者は極めて少ない。2019年のドイツの年間難民認定者は5万人超だが、日本はたったの44人。実態は難民を拒絶しているのだ。難民の認定方法は難しい。着の身着のままで逃げてきたのだから、難民を証明するものなど持っているはずがない。ドイツの認定者が多いのは、難民条約の規定に合いそうな場合は認定することにしているからだ。一方日本は厳格な審査をして僅かでも規定を満たさなければ認定しないことにしている。一昔前の国民は難民受け入れに難色を示していたが、今では受け入れに前向きに変わった。入管難民法の精神や運用そのものを見直すことが必要だ。

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