30日 4月 2021
中国は何故福島原発事故処理水の海洋放出に反対しているのだろうか。今までのトリチウム放出の年間MAX値は、中国42兆ベクレル、韓国360兆ベクレルで、日本の放出予定は22兆ベクレルとなっている。トリチウムだけを考えれば、特段の問題は無い。でも、中国が懸念しているのは、通常の稼働下で排出される冷却水とは異なる点だ。事故の翌年2012年に導入した多核種除去設備ALPSが万全でなく、処理水には多くの放射性物質が除去されずに残った事実があった。当初東電は処理は上手くいっていると公表したが、その嘘が共同通信社により暴露されたことがある。今でも東電のHPには、トリチウムが860兆ベクレルあるということだけで、放射性物質の残量は記載されていない。中国が反対する理由は、日本政府と東電による情報やデータの公開が不十分であることと、国内外の反対にもかかわらず、近隣諸国や国際社会と十分な協議もなく一方的に処分を決定したことだ。奇しくも、このブログ「海洋放出の大前提 」「話の順序が違う 」で指摘した点と一致する。柏崎原発の不正入室問題で明らかなように、東電のモラールは地に落ちている。処理水の水質チェックには、徹底的な監視システムの構築が必要だ。
29日 4月 2021
広島県が誰もが無料でPCR検査を受けられる広島方式を4月からスタートした。多くのエビデンスを科学的に考察した研究結果を真摯に受け止めた結果だ。合原東大特別教授と上海師範大学の研究グループが、数理工学の手法を用いて蓄積されたデータを分析し、感染症モデルを構築した。その結果、感染拡大に影響を及ぼすのは、感染率、感染に関与する人口、新規感染者の見逃し率の3つのパラメーターであることを突き止めた。感染率を抑えるには3密の回避とマスク着用、感染に関与する人口を減らすには不要不急の外出をやめることやリモート勤務。そして、新規感染者の見逃し率とは、感染しているのにコロナとは思わず、普段どおりの生活をしている無症状者たちのことだ。見逃し率はPCR検査を徹底し、隔離すれば、かなり押さえられることになる。即ち、発症2日前から他人に感染させるという事態を防ぐことが重要だと改めて確認された形だ。この結果を知った湯崎広島知事は即座に反応した。県内の無料検査体制を整備し、薬局で検査キットが受け取れる仕組みも作った。時短要請にかかる費用よりも格段に安く済む。広島方式は「クラスターを潰す」のではなく「クラスターを出さない」方向に舵を切った対策であり、費用対効果も高い政策だ。何故、広島で出来て国で出来ないのだろうか。答え:リーダーの資質による差
28日 4月 2021
東京五輪の5者会議が開かれた。バッハIOC会長、パーソンズIPC会長、橋本五輪組織委員会会長、丸川五輪相そして小池都知事。観客数について4月末に決めることになっていたが、6月に先送りされた。日本国民の7割が五輪中止を望んでいるのに、5者は一様にシラをきって中止に言及せず、無観客に焦点をぼかした。尾身コロナ感染症対策分科会会長の言う通り、既に五輪開催の是非を議論すべき時期に来ている。一説によると、もしIOCが五輪開催困難と言い出しても、日本側は開催するための説得と懇願をする方向で一致しているという。と言うのも政府は、五輪を強行開催すれば財界が喜び、国民も熱戦に酔いしれて批判的言動を忘れ、ひいては自分たちの支持率も大幅回復できるとソロバンを弾いているのだ。そこには、国民の命を守るなどという考えは1ミリも無い。最早、五輪は平和でより良い社会をつくることに貢献するという理念など吹っ飛び、人類のためにもアスリートのためにもなっていない。一方で、菅と小池のどちらが先に五輪中止を言い出し、国民の意を勝ち取るかのカードゲームとも言われ出した。強かな小池がそのうち中止を言い出すような気がする。その後実際に五輪が開催されても、国民の命のため中止と言い出した方が政治的な勝ち組になるのだろう。
27日 4月 2021
唐突な4月13日の日本政府の福島原発事故処理水放出の発表に対し、案の定、中国と韓国が猛クレームをつけた。でも、その後は少し鎮静化している。いきなり放射性トリチウムを多量に海洋放出すると言えば、誰でも反射的に反対してしまうのが道理だ。しかし事実を冷静に考察すれば、中韓がおとなしくなった理由も分かる。事実とは。トリチウムは自然界に膨大な量存在する放射性物質だ。福島第一原発に貯蓄されるトリチウムは約860兆ベクレル。それを年間22兆ベクレル以下の量で放出していく計画だ。一方、韓国は2018年、海水や大気に年間約360兆ベクレルのトリチウムを排出した。中国の大亜湾原発は、2002年に約42兆ベクレルを排出した。年間放出量で比較すると、日本22兆ベクレル、韓国360兆ベクレル、中国42兆ベクレルとなる。中韓が鎮静化した訳だ。でも、問題は多い。問題は政府の発表の仕方だ。処理水放出が理にかなっているかの議論の前に、風評被害をミニマムにする必要があった。特に福島県民にとって風評被害は生活を脅かすことになる。だからこそ、福島県民を筆頭に日本全国民を含め、更に近隣諸国への丁寧な説明が必要だった。これを怠り、話の順序を間違えた菅政権の罪は非常に重い。
26日 4月 2021
3回目の緊急事態宣言を決めた23日に、菅首相は五輪の開催基準を問われ「安全安心の大会にする」とはぐらかした。開催まで3ヶ月と迫っている。大阪ではコロナ重症病床がキャパを超え医療崩壊寸前だ。PCR検査を絨毯爆撃的に実施して、モグラ叩きで感染者を隔離する必要があるが、未だにPCR検査の数は増えない。ワクチンに至っては、未だに2%に届かず、今年一杯でも終わりそうもない。どの面を下げて「安全安心」などと言えるのだろう。SNSでは世界中から「五輪を中止せよ」の大合唱だ。米紙ニューヨーク・タイムズは「五輪を考え直す時」、米誌フォーブスは「日本は緊急事態宣言を発令したが、五輪中止は考えてすらいない」、あるIOC委員は「開催の可否は医療や保健の専門家が下すべきだ。開催されるなら、明確で透明性のある説明が必要だ」、感染症専門家は「大会関係者の隔離もワクチン接種も強制でなければ、感染爆発が起きても不思議ではない」と指摘している。東京五輪開催を決めたのはIOCだが、中止を決める権限のある者は誰なのだろう。今の状況はまるで、太平洋戦争に突き進む昔の日本とそっくりだ。もし菅が決断して五輪返上を宣言すれば、一躍世界のヒーローとなり、首相の座も盤石になるはずなのに。戦犯となるかヒーローとなるかの分かれ道に立たされている。
25日 4月 2021
名古屋の河村市長が4期目の当選を果たした。同時に高須クリニックの高須院長から絶交宣言を食らった。大村愛知県知事のリコール運動では協力していたのに一体何があったのだろう。どうも愛知県はきな臭い。発端は愛知トリエンナーレ「表現の不自由展」で、昭和天皇のコラージュ写真の燃やされる映像が展示されたことが契機で、河村と高須の主導でリコール運動が始まった。ところが、署名の8割以上が偽造であることが発覚。結局不正署名を除くと、有効な署名は全有権者の1%しか集まらなかった。しかも、その偽造の首謀者はリコール運動の事務局長だったというから二重の驚きだ。恐らく高須は河村が偽造に関わっていると見て絶交宣言をしたのだろう。でも、一方で河村は、自民と立憲民主が推薦した候補を破り4選を果たした。名古屋市民は、河村が主導したリコールにはNOを表明したのに選挙では河村を支持した。河村は偽造に関わっていないと見做したのかもしれない。でも、真相は未だ闇の中にある。市長も市民も本心が分からない、きな臭い市だ。
24日 4月 2021
コロナワクチンの接種回数が世界185カ国・地域で累計9億回を超えた。国別のワクチン接種回数(人口100人当たり)は、イスラエル115、英国・米国65、EU30、中国15だが、日本は僅かに2。これには、それなりの理由がありそうだ。日本政府は今年の初めに多量のワクチンを確保したと発表した。でも遅々として入ってこない。原因は2つある。1つは、高野孟メルマガに書かれているように、和泉・大坪のコネクティングルーム不倫コンビが口約束まがいのいい加減な合意をしたから。もう1つは、バイデンが就任100日で1億回の接種実現公約を、2億回に引き上げ、ワクチンを横取りしたから。更に米国は、ワクチン製造に必要な37種類の原料、設備の輸出を規制した。その煽りで世界最大のワクチン製造受託機関のインド血清研究所がワクチン生産を中断する危機に直面している。世界的に米国のワクチン独り占めが行なわれている。大統領はトランプからバイデンに替わったが、相変わらず米国ファーストは変わらないようだ。
23日 4月 2021
3回目となる緊急事態宣言が発令された。マスコミでは数日前から、4月25日から5月11日までになるだろうと報道されていた。そして今日23日(金)午後8時に菅首相の会見が開かれた。問題は緊急事態宣言の内容だ。変異株の感染力は強い。これまでの緊急事態宣言の内容では抑え込むは難しいと言われている。如何に強い内容にするかがポイントとなる。劇場や球場の観客制限、デパートやショッピングパークの開店時間帯、飲食店や路上・公園でのアルコールの是非が問われるが、詳細は明らかにされていなかった。と言うよりは、詳細が決まっていなかった。ところが、金曜日の午後8時になって、いきなり菅が25日(月)から斯様な内容で宣言を行なうと言う。残された準備期間は土日しか無い。制約を受ける側から見れば、無茶苦茶な要求だ。相変わらず、菅の会見は単なる伝達者が喋っているだけで、感染を抑え込もうとする熱意も切迫感も感じられない。海外ではまん延防止等重点措置は失敗だったと酷評されている。5月11日には、緊急事態宣言も失敗だったと酷評されるに違いない。国民への要請だけで乗り切ることが出来ないのは誰が見ても明らかだ。
22日 4月 2021
お粗末な気候変動サミットだったと思う。世界40カ国の首脳が参加した会議は、コロナ禍のためオンラインの開催だった。まず内容がお粗末。米国が中国封じ込めのため、西側諸国に二酸化炭素排出削減目標2030年50%を通達。菅はバイデンに問い詰められれば50%を腹積もりしていた。でも、何も言われなかったので46%を表明。だが、政府の検討では39%がマックス。梶山経産相と小泉環境省が46%にでっち上げた。初めから到達不可能な目標を掲げた訳だ。2030年には誰もその職務にはいない。無責任そのものと言える。排出量ナンバーワンの中国は何と2030年から削減を始めると宣った。参加資格さえ無いと言える。オンライン会議そのものがお粗末だった。自分がスピーチする時だけ真面な顔をして、それ以外の時は席を外したりスマホをいじったり、菅などは代理人を座らせていたという。おまけにオンライン会議のシステムもお粗末だった。映像が途切れたり、音声が聞こえなかったりダブったりで、ドタバタそのものだったとのこと。世界中のどの国も、二酸化炭素排出削減の目標だけは高いが、本気度が全く無いことがバレバレの気候変動サミットだった。
21日 4月 2021
バッハIOC会長が、東京都に発令される緊急事態宣言について「東京五輪とは関係ない。ゴールデンウイークに向けて感染者を増やさないための限定的な対策だ」と発言したとのこと。コーツIOC委員長も「東京五輪は必ず開催する」と言っている。IOCは東京五輪開催を強行突破する積もりのようだ。何故これ程までに世論とずれているのだろうか。答えは簡単だ。今やIOCは米NBCの出先機関に成り下がっているからだ。米NBCは夏季・冬季五輪の10大会に1兆3千億円の放映権料をIOCに支払っている大スポンサーだ。だから、IOCには五輪中止という選択肢は存在しない。たとえ無観客でも放映には影響しないから、それも選択肢の1つだ。五輪でコロナ感染が拡大しようが、選手が感染しようが、それは開催国日本だけの責任と思っているはずだ。数ヶ月前日本人の8割が五輪開催に反対していた。でも変異株の拡大により、今やアスリートも含め99%の人が反対している。残りの1%は、国民の命を顧みない菅首相だ。菅が首相の首と国民の命を天秤にかけた結論なのだろう。国民には己の命を守るため声を挙げる道しか無い。