30日 9月 2012
尖閣国有化のメリット/デメリットが明らかになってきた。元々尖閣は国際法上日本の領土であり実際に実効支配しているので今すぐ国有化しなければならない理由はなかった。都の所有化を言い出した石原は、避難港の必要性を主張しているが、尖閣周辺は大した漁場ではなくその緊急性もなかった。国有化した政府も当面は尖閣を触らないと言っている。従って尖閣を国有化したことによる直接のメリットは何もない。間接的には少しある。海の警察である海上保安庁強化の必要性を国民に分からしめたことと、中国の南沙政策に悩む東南アジア諸国を少し力付けたこと。だがこれらは直接対応が可能なのでメリットとは言えない。反面デメリットは大きい、と言うよりはデメリットしかない。中国の反日感情を異常なまでに刺激し、感情に留まらず経済活動を急減速させ友好関係もストップさせた。日中のナショナリズムを煽り極右派を増長させ虚しい憎しみだけを増殖させた。領土問題は双方の国にそれなりの言い分があり、一朝一夕に片付くものではない。時間をかけ少しずつ妥協点を見つける方法しかない。世界の常識では、一方的に国有化した日本に非があり、暴徒化した反日デモは中国に非がある、と言われている。この事態を招いたのは、政治家の失策としか言いようがない。
29日 9月 2012
三男の子供が生まれてから今日がちょうど100日目。お食い初めを祝った。お食い初めとは、新生児に乳歯が生え始める頃に「一生涯食べることに困らないように」との願いを込めて食事の真似をさせる儀式。場所は会席料理の店。乳児用のママゴトみたいな小さなお膳が出てきた。10cmほどの高さの金屏風の前に、鯛や赤飯や吸い物や歯固め石とおぼしきものがのっている。各料理には意味がある。鯛や赤飯は勿論おめでたさ。吸い物は吸う力が強くなるよう願うため。歯固め石は歯が丈夫になるようにとの願いから。歯固め石は、普通は近所の神社からお借りして返すものか、石の代わりに栗を使うが、そのどちらでもなかった。よく見るとムカゴだ、乳児には巨岩に見えるに違いない。料理人は考えているなと感心した。そもそもお食い初めという行事があることを知ったのは、長男の子が生まれた時の5年前。それまでそんな行事は聞いたこともなかったが、長男の嫁さんから教えられた。その時は長男の自宅で箸を口に近づけるだけの質素なお祝いだった。我が家は3兄弟を育てたが、親から見ると長男には相当の手をかけたが、次男三男には余り手をかけた記憶はない。手を抜いたか、手を抜けたかに違いない。今日その三男が兄弟の中で一番正統に近いお食い初めを行った。孫の成長のお祝い行事も刻々と進み楽しいが、子供と思っていた三男が本当のオヤジになった瞬間を垣間見たような気がした一日であった。
28日 9月 2012
イタリアは日本と同じ地震国で、古くからの地震被害の記録が数多く残されている。イタリアで地震が多いのは、ユーラシアプレートとアフリカプレートの境界部分にあるため断層が多く、かつ現在のプレート説では説明が出来ないほど複雑な地層の動きがあるためとのこと。高々アペニン山脈と地震帯が一致している程度のことしか分かっていないのが現状だ。そのイタリアで、2009年4月6日イタリア中部地震が発生し、観光地ラクイラを中心に死亡者309人、被災者6万人以上の被害が出た。ところがイタリア地震委員会は地震発生前の3月31日に群発地震は続いているが大地震の兆候はないと発表していた。検察当局は、その発表が被害を拡大させたとして、地震委員会を過失致死の疑いで捜査を始めた。そして今年9月25日に7名の委員全員に禁錮4年が求刑された。一方、地震発生の数週間前、グラン・サッソ国立研究所の技師はラドンガス研究に基づいた地震予測により、近々に地震がイタリア国内で発生すると予告していたが、市民保護局により煽動者とされ罰則を受けた。「ある」と言えば罰せられ「ない」と言っても罰せられ、地震学者はやっていられまい。地震学者には、イタリアだけにガリレオ・ガリレイを見習って、何があろうとも真実を追求する道しか残っていないのかもしれない。
27日 9月 2012
今年の国連総会での日本首相の演説が、珍しく注目を浴びたようだ。いままでの首相たちは、差し障りのない途上国開発援助や地球環境問題への取り組みを述べ、ほとんど議論を呼ぶようなことはなかった。ところが今年の野田は、中国と韓国を念頭に置き、国際的な紛争を解決するには国際司法裁判所に委ねることが重要だと国際法の活用を力説した。東アジアで領有権紛争をめぐる緊張が激化し、世界第2位の中国と第3位の日本の間に政治的に不穏な空気が流れているこの時期にはタイムリーな内容であり、今後議論を呼ぶことになるだろう。明日以降中国と韓国が総会で何をどう主張するのか興味を持って注目したい。常々世界に向かって議論を呼ぶような意見を発することが出来るようになれば、日本も自立してきたと世界から認められるようになるに違いない。野田が日本の自立を一歩進めたと言える。
26日 9月 2012
自民党総裁選で安倍元総裁が返り咲いた。可もなし不可もなしというところだろう。投票前から石破、安倍、石原が主戦場で、町村、林は蚊帳の外。今回の総裁選のテーマは、自民が脱皮出来るか昔の派閥政治に戻るかだ。個人レベルとしては政治家としての適不適の判断もあったが。石破は無所属で自民改革の先頭に立っている。安倍は小泉革新派ではあるが大阪維新との連携も視野に入れた新規軸を出そうとしている。対する石原は派閥政治の領袖の猿回しの猿。脱皮派2対守旧派1なので、上位2位がどうなるか、自分はテニスをしながら少し気をもんでいた。その後のニュースで脱皮派が上位を占めたとのことで少し安堵し、どっちが勝っても良いと思っていた。結局、決選投票で石破が負けたのは派閥政治を否定していたからで、安倍が勝ったのは派閥政治を続けたい領袖たちが、それならこっちと選んだに過ぎない。全体から見れば先頭を選ばず、そうかと言って後退を選ばず、それで可もなし不可もなしとなった。だが少し反省はある。自分は「石原は絶対ダメ、石破か安倍が」と思っていたが、当日前に特定候補に利することは発すべきではないと思いブログに書くことは控えていた。そして自民の若手のオピニオンリーダーである小泉進次郎も何故か意中の候補を言うことを控えていた。だがこの進次郎の行為が、自民を一歩先へと進む力を削いだとも言える。進次郎が事前に石破と公言していれば、石破になっていたかもしれない。半歩前進後退せず、まあ国民にとっては朗報とは言えるだろう。テニスを終えて自宅に戻りテレビを見て、そう思った。こんなことを考えながらテニスをしていたのだから戦績は言うまでもなし。ショボン。
25日 9月 2012
ヤンキースのイチローが絶好調だ。6試合で25打数15安打の打率6割、2本塁打、5打点、6盗塁の成績で週間MVPを獲得した。ヤ軍に移籍後9番だった打順も2番に上がりチームを代表するジーターとロドリゲスに挟まれご満悦。ヤ軍のフォアザチーム精神に溶け込んだようだ。マリナーズ時代には見られなかったベンチでのイチローの笑顔がよく映る。まさに久し振りに優勝争いの真っただ中で野球を心底楽しんでいるようだ。しかし絶好調故に何か良くない予感が頭をよぎる。2009年のワールドシリーズ、ヤンキース対フィリーズ戦、松井が第6戦に5番DHで先発出場し先制2ランを含む3安打6打点の大活躍。このシリーズで13打数8安打の打率6割、3本塁打、8打点の好成績を残し、日本人選手初のワールドシリーズMVPに輝いた。だがヤンキースとの契約満了に伴いFAとなり放浪の生活が始まり今は選手としての活躍の場もない状況だ。大活躍のイチローが来シーズン、ヤンキースに残れるのか、他チームに移るのか、それとも日本に戻り選手を卒業して監督かタレントになるのか、興味は尽きない。いずれのケースになろうとも、イチローには持ち前の才能をフルに発揮することを望みたい。
24日 9月 2012
過去50年で最悪の干ばつに見舞われている米国ではトウモロコシが高騰し、牛を飼育する酪農家を悩ましている。米国は世界のトウモロコシの半分を生産し、用途の6割は飼料用なので、この問題がいかに大きいかが分かる。先月頃はトウモロコシの高騰で採算が合わず、牛を手放す酪農家が続出しているというニュースがあった。そして今月は、コスト削減のためクッキーやグミ、マシュマロ、チョコレートなどが入った混合飼料を与える酪農家が現れたというニュース。トウモロコシのでんぷん質の代わりとなる安いものなら何でも使うと言う。そのうちチョコレートを多量に食べた牛からミルクココアが搾れるようになるかもしれないし、食肉として「香り牛」なるブランドも出てくるかもしれない。いま米国のトウモロコシ消費の半分はバイオ燃料向けになっている。「香り牛」ブランドが確立する前に、馬鹿げたバイオ燃料消費を早急に止めるべきだと思う。
23日 9月 2012
世にも不思議な会社がある、その名はルネサスエレクトロニクス。日立製作所と三菱電機とNECのマイコン部門が合併して出来た会社で、Renaissance Semiconductor for Advanced...
22日 9月 2012
今日はお彼岸だ。日経土曜版プラス1に、ぼた餅とおはぎの違いが載っていた。ぼた餅とおはぎは基本的には同じもので、季節によって呼び名が変わるとのこと。春は牡丹の季節なので牡丹餅、秋は萩なのでお萩と呼ぶらしい。季節で呼び名を変えるとは、四季のある日本ならではの風流さを感じる。そこで興味を持ち色々調べてみた。「おはぎ」は、春は牡丹餅、夏は夜船、秋はお萩、冬は北窓と呼び名が変わるとのこと。「おはぎ」作りはペッタンと杵を突かないため音がしない。音なしだから、ついた(突いた、着いた)のが分からないので夜の船の着岸で夜船。突きが分からないから月が見えないになり、月が見えないのは北窓。夜船と北窓が生き残らなかったことを少し残念に思う。山椒も季節によって呼び名が変わるらしい。春の青い実は青山椒、秋に赤く色付くと実山椒、更に実が弾けると割り山椒、それを粉にしたものが鰻にかける粉山椒。やはり山椒は山椒に固執しているのでおはぎには勝てそうもない。一方年齢とともに名前が変わるものもある。出世魚の代表がブリ。ワカシ、イナダ、ワラサそしてブリへと変わる。スズキもセイゴ、フッコ、スズキへと。カンガルーも変わる。その大きさによりネズミカンガルー、ワラビー、ワラルー、カンガルーへと。人も変わった。昔の偉い人は出世とともに名前を変えた。名は体を表すというが、その名が器となり実体を成長させているような感じがする。戒名ではなく改名、捨てたもんじゃない。
21日 9月 2012
神奈川科学技術アカデミーの安田教授らが、がん患者の再発や転移を早期に診断する装置を開発したとのこと。血液中でガン細胞が数十個の塊になって流れる性質に着目し、それを測定出来るシステムを開発したらしい。今までの方法では、腫瘍マーカー検査は乳がんや胃がんに限られ、画像診断は被曝の問題があり、これぞ本命という再発がん診断方法はなかったらしい。この血液検査法は言葉で言うと簡単だ。細胞の塊を測定するだけ。原理は単純だが、しかしそれを診断機器として作り上げるには相当のブレークスルーがあったに違いない。開発者から見れば、塊に着目したことよりも、それを可視化出来た技術に誇りを持ったはずだ。それをアピールしたいのが技術者魂というものだ。しかし、それを敢えて伏せ分かり易く細胞塊測定診断機として発表したことに、開発責任者の「目利き」を感じる。「目利き」とは、古物鑑定士の中島氏のように、ものの真贋を見分ける能力のある人。自分は半世紀近く化学に携わり、そこそこ化学については目利きの基礎は持っていると思っている。しかし思っていると化学に拘る。だがその拘りを超越した人が「目利き」だ。再発がんの「目利き」ががん万能診断機を完成させることを願いたい。