30日 6月 2012
明日から日本ではレバ刺しが、米加州ではフォアグラが禁止になるが、その理由に文化レベルの深さと浅さが象徴されている。レバ刺しもフォアグラも古くから食されてきた伝統のある食材だ。レバ刺し禁止の発端は昨年の焼肉酒家えびすのO157付きユッケによる食中毒死亡事件。それまではユッケによる食中毒死亡はほとんど発生していなかっただけに極めて特異的な事件だった。その後の調べで焼肉酒家えびすは異常なほどに食中毒を繰り返す極めて悪質な業者であることが判明している。厚労省が極めて短期間にレバ刺し禁止令を出したのは、一言でいえば勇み足。これは日本の食文化の一部を壊す愚挙に出たと言える。同じような状況であったのがダイオキシン。モルモットが特異的にダイオキシンに反応し死亡することから、異常に早く成立したのがダイオキシン法。しかしダイオキシンは人に対してはそれほど有害ではない。旧ウクライナのユシチェンコ大統領が身をもって証明している。事実今ではたき火をしても怒られない。要するにレバ刺しにしてもダイオキシンにしても、政府のオッチョコチョイのオタンコナスが何も分からずに作ってしまった法律だ。文化レベルは極めて浅いと言える。一方フォアグラの禁止には、賛成とも反対とも言い難い。米加州のフォアグラ禁止の理由は、ガチョウへの餌のやり方。ガチョウの口をあけロートを突っ込みエサを流し込む。可哀そうと思えば可哀そう。しかし食用と思えば食用。この悩むところに文化レベルの深さがあると思う。
29日 6月 2012
小沢グループの離党をめぐり妥協点のあるはずがない小沢/輿石会談がズルズルと繰り返されている。消費増税法案撤回なければ離党という小沢元代表の要求を民主が飲むはずがない。会談の結論が「お互いに何かいい知恵があるかどうか考えてみよう」とは情けない。小沢側から見れば、衆院解散の主導権を握れる頭数が揃うまで少しでも時間稼ぎをしたいというのが本音だろう。しかし目出度く解散にたどり着いたとしても、選挙で大幅に頭数が減ることは目に見えている。小沢新党のほとんどは1年生議員で選挙に通る見込みは極めて小さい。また国民は小沢新党に期待していないという調査結果が既に出ている。つまり小沢にとって離党と解散総選挙は何のメリットもないのが現実だ。だが小沢には離党新党結成の道を歩んでほしいと思う。水と油が共存する政党が、整合性のある政策など策定出来るはずがない。小沢離党が実現すれば政策本位の政党間の争いに近づき、少しは政治を機能させることになるはずだ。小沢/輿石会談の月曜の結論に期待したい。
28日 6月 2012
財政健全化団体となった泉佐野市の財政健全化の方法がユニークだ。国内の行政で初めて3月に市の命名権を売却することを、そして今度は犬税の導入を発表した。泉佐野市は平成6年の関西国際空港の開港に合わせ約2千億円をかけインフラ整備をしたものの、見込みが外れ大赤字となり財政健全化団体に落ち込んでしまった。そこで考えたのが市の命名権。スポーツ施設や公会堂ならばいざ知らず、市の命名権はやめた方が良い。キューピー市や東洋製罐市なんていただけない。契約期間が過ぎればまた元に戻すか他企業名になるし、市民も愛着が湧かないだろう。同市は環境美化推進条例で、ペットのふんの放置やたばこの吸い殻のポイ捨てを禁止。違反者には1000円の過料の徴収を定めているが、実際の徴収例はない。市長は「モラル、マナーの向上を市民に求めたい。啓発で効果がなければ導入したい」と言っている。啓発活動で改善されなければ2年後をめどに導入に踏み切るとのこと。マナーの悪い市民を躾けるには良い方法だ。使う必要のないモノに貴重な税金を使うのは愚の骨頂。この啓発活動がうまくいけば、不要な税金使用も減り市民のマナーも向上する。全国の市町村にとっても泉佐野市を手本に、課税という恐喝によるマナーの向上を検討することは一考の価値があると思う。
27日 6月 2012
株主総会が最盛期を迎えているが今年の総会ほど問題の多い年はない。特に電機業界は甚だしい。パナソニックの中村元会長、ソニーのストリンガー会長、シャープの町田元会長らは莫大な赤字を作った張本人なのに、株主総会ではパナの大坪会長、ソニーの平井社長、シャープの片山会長らが釈明し責められた。敗因は単に中村、町田の無謀な設備投資、ストリンガーの技術軽視にある。パナとソニーは共同で有機ELテレビ技術開発に集中するとのことだが、単に新しいテレビを作っても収益源になるはずがない。再浮上を図るにはアップルを良く研究し更なる新しいビジネスモデルの構築が必須だ。シャープは鴻海と組んだのが致命的。骨の髄までシャブリ尽くされたあげくシャープというブランド名だけが残るのは目に見えている。最早シャープを救う道はない。結局天皇と呼ばれる裸の王様を天に頂く会社は盛者必衰の道を歩むことになるものだ。裸の王様を生ませない風土作りこそが再起のきっかけになるはずだ。
26日 6月 2012
消費増税法案が衆院本会議において賛成363票、反対96票で可決された。民主党内からは、小沢グループを中心に57人が反対票を投じ、欠席や棄権が19人あった。自分は一体改革の中身が伴えば消費増税に賛成だった。しかし一体改革の中身を骨抜きにしてしまった政治には失望を感じる。そもそも野田が政治生命を懸けたという消費増税法案はマニフェストには記載されていない。本来であれば、野田は法案成立前に衆院を解散し国民に信を問うべきであった。それが本道だ。本道を踏み外した野田には今後骨抜きにした中身に骨を入れる責務がある。この責務に政治生命を懸けてこそ一人前の政治家といえることになる。一方党議拘束のかかった法案に反対した57人は党の処分がどうあれ自ら離党すべきだ。それがけじめというものだ。次回選挙で「民主党の造反議員」という立場での立候補はあり得ない。信用のない民主党代表に造反した信用の置けない民主党議員などに票を入れる者はいない。彼らには新しい党で新しいマニフェストで選挙に臨む道しか残っていない。果たして彼らはどこまで考えていたのであろうか。
25日 6月 2012
万葉集に詠まれ「潮待ちの港」として知られている鞆の浦の埋立て架橋計画が、1983年の計画策定以来30年経過した今やっと計画が撤回され景勝が保全されることになった。鞆の浦には古い町並みが残り、都市景観100選、美しい日本の歴史的風土100選にも選ばれたところ。江戸時代の港湾施設である常夜燈、雁木、波止場、焚場、船番所が全て揃って残っているのは全国でも鞆港のみで歴史的価値も高い。アニメ映画「崖の上のポニョ」の舞台としても有名だ。埋立て架橋計画の発端は道が狭いこと。景勝を壊してでも交通の便を良くしようという県の計画に対し、コストはかかるがトンネルを作り景観を保全しようという案が対立していた。湯崎広島県知事は今までの県の計画を撤回し景観優先を決断した。良い決断だと思う。野放図に道路を作り続ける行政は良くないと思うが、歴史的景勝地を保全するため割高のトンネル道路にすることは充分価値がある。これを契機に鞆の浦が景勝地として栄えることを願いたい。
24日 6月 2012
相当久し振りに日経の三面が真面な記事を載せている。「塩害で荒れた農地は沃野に変わる」という記事。東日本大震災の津波で東北地方の田畑は壊滅的な被害を受けた。津波によりナトリウムが2倍も増え、塩害のため作物の実りは絶望的なはずと言われていた。しかし今日の日経によると、海のミネラルが陸に留まりカリウム、マグネシウム豊富な沃野に変わりつつあるという。ナトリウム濃度は表土の混合で水はけを良くすることと梅雨の大雨で大幅に低下し、土壌の酸性化は無償の鉄鋼スラグで中和することにより防いだ。実際に青いイネが順調に育っているとのこと。農水省の塩害マニュアルでは「海底土砂を田畑の外へ除外する」だが、重労働でコスト高。しかしこの方法は「海底土砂を除外せず田畑の土と混ぜるだけ」で、効率的だけでなく沃野が得られ一石二鳥。これを発案し実証したのが東京農大の後藤教授。まさに地についた研究だ。東北地方の早期復旧を願う。
23日 6月 2012
ユーロ危機に喘ぐギリシャの後に控えるスペインでは「日曜営業」の可否について揉めているらしい。スペインの現行法では基本的に日曜日は営業が禁じられているので、営業が認められればこれにより約4人に1人が失業している現状を改善し、約2万人の雇用に繋がると期待されているからだ。しかし少し変だ、「日曜営業がない」ことも「日曜営業に反対する」ことにも違和感を覚える。元々スペインには有名なシエスタがある。昼寝を貪りながら、かつ日曜営業もないのか、これで良いのかと思った。一方日本では「日曜営業」は当たり前だ。平日の繁華街は人もまばらで、やっていけるのかと心配になるほど。しかし土日は凄い、人で溢れている。だから日本から見ればスペインは惰眠を貪り過ぎている、と見るのが常識かもしれない。しかしスペインの朝は早く、それでシエスタを補いバランスをとっている。日曜営業しないのは家族との絆を大切にしているからだ。いまグローバル化という言葉が、世界を均質化させている。均質化は本当に良い事なのだろうか。均質化よりも各地各国の良き伝統を繋いでいくことの方が、人類に心の豊かさと幸せをもたらすのではないかと思う。従ってスペインについては日曜営業反対、シエスタ存続賛成。
22日 6月 2012
三男に子供が生まれ、これで我が家は孫が5人になった。最近夫の子育てをイクメンと称して報道されることが多いが、我が家の子供たちも流行に乗ってか乗らずかは分からないがイクメンだ。長男は頭脳系教育に重点を置いている。0歳から始まり5歳になった今でも続いている。確かに効果はありそうで間違いなく賢そうに育っている。次男は運動系教育を推奨実行している。足が速いのでリレー選手に選ばれた。動作も俊敏で器用だ。下の男の子には球技のセンスの良さを感じる。さて今回の三男はどのような教育方針をとるのだろうか。三男は末っ子なので、いつも兄の後を追って育ってきた。しかしいつの間にか大人になって自分なりに相応な生活を築いている。子供の時のように兄の真似をしないことだけは確かだ。イクメンになることも間違いない。これから三男がどのような子育てをするのかを楽しみにしている。
21日 6月 2012
日本で初めてのボクシング世界王座統一戦は見応えのある良い試合だった。世界ミニマム級WBC王者井岡一翔vs同級WBA王者八重樫東。内容は互角に近かったが勝負は3-0で井岡が制した。試合内容も良かったが、試合後の反応はもっと良かった。ボクシングの試合は負けた側が判定に不服を述べることがよくあるが、八重樫側は素直に敗北を認める潔さがあった。更に八重樫の大橋ジム会長は「負けたのは悔しいが、井岡にはボクシングの美しさが詰まっていた」と称賛さえした。一方勝った井岡は有頂天になるのかと思ったら豈図らんや、両タイトルを返上するという。次戦はライトフライ級で2階級制覇を目指すとのこと。この若者には日本初となる王座統一の王者でさえ「通過点」との位置付けらしい。爽やかさと聡明さを感じた。それにしても最近のスポーツ界のトップ選手に共通する爽やかさと聡明さは、一体どこから出てくるのだろうかと思う。精進に精進を重ねると邪念が払拭され残ったものが聡明さなのかなと、自分には全く分からないが勝手に推測している。日本の一途な若者畏るべし。