東電の柏崎刈羽原発の再稼働が焦点になっている。東電の総合特別事業計画では返済のために年5000億円を捻出する方針となっている。だが、電力小売りの完全自由化や燃料価格高騰などの影響で事業環境は悪化。18~22年度の返済額は3000億~4000億円台にとどまった。柏崎刈羽原発が1基再稼働した場合、約1000億円の収益改善を見込んでいる。東電にとって、柏崎刈羽原発が再稼働しなければデフォルトに陥り、事実上の経営破綻となる。だから、東電も国も再稼働に必死かと言うと、そうでもない。原子力規制委員会の審査は通過したものの、テロ対策設備の不備で、たとえ稼働したとしても10月には停止しなければならない。一方で、数々の不祥事で新潟県民の東電への不信感は払拭されず、再稼働に必要な地元合意に至っていない。国は資源エネルギー庁のトップらを新潟県内市町村の首長にアプローチさせたが、避難計画にしても経済活性化にしても「持続的な発展に向けて何ができるか、具体的な検討をさらに深めていきたい」と答えは他人ごとだ。これまで「県民の信を問う」としてきた花角英世知事の意向もはっきりしない。元々東電の経営破綻を免れるために再稼働するというのは本末転倒だ。近くの志賀原発も能登地震で非常に危なかった。新潟地方の地震を考えれば、柏崎刈羽原発を廃炉にするのがベストな選択だと思う。
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