ガンは何故転移するのか?

日本人の死因の第1位はガンだ。しかも死亡する原因の大半は、ガンが最初にできた原発巣ではなく、転移したガンの影響だという。だから、ガンが何故転移するのかを究明することは、ガン撲滅のための重要な研究テーマと言える。そこで京大などの研究チームが、ガンが何故転移するのかを突き止めたと英科学誌ネイチャーに発表した。まず活性酸素に注目した。腫瘍の内部は活性酸素種が蓄積しやすい環境にあると考えられているが、腫瘍内の活性酸素種を細胞レベルで直接的に検出する技術が確立されていないのが欠点だ。活性酸素種といえばH2O2。そこで、ガン細胞周囲のH2O2の分布を1細胞レベルで可視化できるツールを開発したとのこと。すると、腫瘍の内部の活性酸素は転移を抑える効果があるが、腫瘍の外部にある活性酸素は転移を促進するという事実を発見したのだ。つまり、腫瘍の外部にある活性酸素を消去出来れば転移を抑制出来る可能性があることを見出したのだ。この研究で、ガン撲滅は一歩も二歩も進んだことになる。頼もしい限りの日本発の研究であると嬉しく思う。