英経済誌エコノミストが「いまの物価高騰の苦しみは日本経済をデフレから完全脱却させるための代償だ」との記事を載せている。以下はその概要。日本以外の多くの国の中央銀行は昨今のインフレに伴い、政策金利や預金準備率を引き上げる金融引き締め政策をとった。日本の物価上昇率はこの3年間、日銀の目標である2%を上回っていたが、金利はマイナス0.1%から0.25%に上昇した程度でほとんど変わらない状態が続いている。これは日銀が、この数十年来のデフレを明確に終わらせたいと考えていることの表れだ。2021~22年にかけて、日本経済は急激な円安と輸入品価格の上昇により大きな打撃を受けた。企業は「値上げのタブー」を破るしかなく、労働者は賃上げを強く求めるようになった。日銀は、インフレと賃上げの波にのり、現状の生産コストの上昇によるコストプッシュインフレを、消費が増えることで価格が上昇するディマンドプルインフレに転換したいと考えている。今年の春闘でも、前年に続き5%の賃上げが実現すると予測する。日本経済をめぐる状況は好転の兆しを見せているが、その一方で日銀は難しい舵取りを迫られている。日銀が利上げに慎重になれば円安と物価高騰が長引き、野心的過ぎればインフレが定着する前に円高になり、デフレからの完全脱却は頓挫してしまう。日銀が今後も金利をゆるやかに引き上げる方針を堅持すれば、いつかは日本経済が健全になる、と指摘している。日銀を知るには、国内の新聞よりも海外の記事の方が分かり易い。
コメントをお書きください