中国の思いやり食堂

生活が苦しい人に無料で食事を振る舞う飲食店は「思いやり食堂」と呼ばれ、最近、中国の都市部で広がっているとのこと。北京にはメニュー表にない隠語「唐辛子肉炒め丼」を注文すれば支払いは不要という中華料理店があるという。メンツを重んじる中国人を思いやり、店主が自発的に生活困窮者へ食事を提供しているのだ。都会で助け合いの輪が広がることに、心が温まる思いがする。だが、裏返せば「救い」を求める人が増えているという寒々しい現実なのだ。中国政府も昨年末から生活困窮世帯への支援を強化する方針を打ち出したとのこと。中国経済は大減速している。経済減速による若者の就職難、リストラや企業倒産の増加によって、都市部を中心に新たな貧困層が出現している。中国は格差社会でもある。これまで貧富の格差は、高所得層が急速に豊かになることで引き起こされてきた。ところが、今後は中低所得層の収入が落ち込むことで格差が広がる構造に変化する。習近平はこれまで「強国建設」を掲げてきたが、社会的弱者を支えるセーフティーネットを整備し、庶民の安心感や希望を取り戻すことに舵を切り替えることが求められている。出来るだろうか。