バイデンは何故USスチール買収に反対なのか

バイデン米大統領が日本製鉄によるUSスチールの買収計画に対する中止命令を出した。「米国の国家安全保障を損なう恐れのある行動を取る可能性がある」と判断したからだと言われている。果たして、そうだろうか。鉄鋼の世界市場は中国がほぼ独占している。そもそも買収計画は、単独では生き残れないUSスチールによる身売りの入札で始まった。もし、日鉄とUSスチールが組めば、粗鋼生産量で世界3位の日米連合が誕生する予定だった。日本も米国も救われるのだ。でも、反対しているのは全米鉄鋼労働組合USWだ。日鉄は長期雇用契約を約束しているから、USWには不利にならないはずなのに。バイデンは、この時期に何故買収に反対したのだろう。一説にはUSWの雇用を守るためとも言われているが、それは正しくない。買収により、USスチール自体も株主も従業員も守られるはずだ。恐らくバイデンは、USスチールのライバル企業である米鉄鋼大手クリーブランド・クリフスに肩入れし、益を得ようとしているに違いない。さて、トランプも今は買収に反対している。大統領就任後、如何なる判断をするのだろうか。要注目。