少数自民の効果

東京地検特捜部は、政治資金規正法違反の疑いで告発した旧安倍派の裏金議員や秘書ら計65人を一斉に不起訴とした。犯罪事実を認めつつ裁量で起訴を見送る起訴猶予は、現職議員5人と秘書16人だ。だが、検察審査会に審査を申し立てられる可能性は十分にあるから、裏金事件は越年必至だ。自民の裏金事件の解決が、とうとう年を越すことになった。でも、少しは煮詰まってきた。参院政治倫理審査会でキックバック廃止の経緯を巡って世耕弘成前参院幹事長の名前が相次いで上がった。これで世耕が自民裏金の全容を知るキーパーソンに浮上した。一方で、野党は旧安倍派の松本元会計責任者(政治資金規正法違反で有罪確定)の衆院予算委員会への参考人招致を求めることで一致した。少数与党の影響で松本招致は実現可能だ。安倍派幹部5人は否定しているが、松本は2022年8月の派閥幹部会合で還流再開を決めたと証言している。証言が全く食い違っている。松本招致が実現すれば裏金派閥を長年率いた森喜朗元首相の国会招致も現実味を増す。いよいよ核心に近づきそうな気配だ。少数自民と責任を負わざるを得なくなった野党のせめぎ合いが、政治を真っ当な道へと導いているように映る。