薬不足が常態化している。インフルエンザが猛威を振るい始めたが、薬局には咳止めも抗生物質も無いのだ。薬不足の要因は、ジェネリック医薬品メーカーの不祥事による製造停止とドラッグ・ラグと言われている。国は医療費低減のためジェネリックの促進を推進してきた。だが、製造能力の確保や市場での健全な価格競争を促す政策はしてこなかった。そこに綻びが生じたということだ。一方、ドラッグ・ラグも国の政策が関わっている。ドラッグ・ラグとは、海外ではすでに使用されている医薬品が、日本で承認使用できるまでに生じる時間差のことを意味する。海外では使われているのに、日本では使えないのだ。日本では、薬事承認申請をするにあたり、治験の最終段階に日本人が入っていることを重要視している。国は海外メーカーに日本人を入れるよう依頼はしているが、なかなか入れてくれない状況にある。でも、韓国や台湾、シンガポールは治験に組み入れられているケースが多いという。日本は、薬価改定のたびに価格を引き下げるので市場としての魅力が無いのだ。更に、承認申請の書類も、日本独自のものを作成して厚労省に提出しなければならない手間があるのだ。結局、ドラッグ・ラグがドラッグ・ロスへと繋がっている。厚労省は、医薬品確保について、抜本的な見直しを行なう必要があると思う。
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