EV規制で己のクビを絞める英国

電気自動車EVは、ガソリン車と較べてCO2排出量を大幅に削減出来るというのが定説だ。だが、EVの製造過程ではガソリン車よりもCO2を多く排出する。火力発電に頼っている日本では、EVとガソリン車のCO2排出量が同列に並ぶ「CO2損益分岐点距離」は約11万kmとの計算がある。即ち、EVは11万km以上走行しなければ、ガソリン車よりCO2排出量が少ないはと言えないのだ。ガソリン車は通常11万km程度で廃車になるから、ガソリン車が劣っているとは決して言えないという見方がある。ところが、世界中の自動車メーカーは中国製EVに押され、縮小を余儀なくされている。特に酷いのが英国だ。英国では2024年からEV規制が開始された。乗用車の22%をEVまたは水素燃料電池車とすることが義務付けられ、2030年には80%に、そして2035年にはガソリン車、ディーゼル車、ハイブリッド車の新車販売が完全に禁止される。規制に違反した場合、メーカーに非EVの乗用車1台ごとに最大286万円の罰金が課せられることになっている。世界の自動車メーカーが英国市場からの撤退を余儀なくされるのは必至だ。先進的取り組みが、正しいとは限らない典型例と言えそうだ。