ヒトの9割は細菌細胞

「人体大全:ビル・ブライソン:新潮社」によると、ヒトは約30兆個のヒト細胞と、30兆から50兆個の細菌細胞とから成っているという。ただし、ヒト細胞の85パーセントは赤血球で、通常の核やミトコンドリアを持たず、実際には単なるヘモグロビンの容れ物なので、本物の細胞とはいえない。そこで差し引くと、ほぼ90%が細菌細胞ということになる。また、遺伝子的に見れば、ヒトの中には自分の遺伝子が約2万個しかないが、細菌の遺伝子は2000万個もあるので、その視点からすると、ヒトのおよそ99%は細菌で、たったの1%がヒトなのだ。つまり、ヒトは何兆、何十兆もの小さな生き物の住まいと言えるのだ。しかし、細菌はヒトに役立ってくれるのだ。自分では利用できない食物を分解してエネルギーの約10%を供給し、その過程でビタミンB2やB12などの有益な栄養素を抽出してくれるのだ。ヒトは20種類の消化酵素を生成するが、細菌は1万種類、つまり500倍多く生成するのだ。もし細菌がいなければ、ヒトははるかに栄養状態の悪い人生を送っていたことになる。