薬の供給不安は厚労省のミス

薬の供給不安が続いている。厚労省は医薬品の供給に関する業務を統括する安定供給責任者の設置を製薬会社に義務づけることにした。安定供給責任者は、原料調達から生産計画、在庫管理などを管轄し、出荷制限や停止の可能性が出てきた場合には同省への速やかな報告をすることになった。2025年の通常国会に関連法の改正案の提出をめざすという。2020年のジェネリック医薬品メーカーでの品質不正が発覚して以降、供給不安が収まらない状況にある。特にせき止め薬や解熱剤が手に入らない。1万6700品目のうち19%が出荷制限や停止状態にあり、このうち後発薬が6割を占めている。安定供給責任者を設置し、安定供給を目指すのは良いが、厚労省にはもっと成すべきことがある。1つは、製薬会社の内部監査の徹底だ。今までは性善説に頼り過ぎていた。性悪説に切り替えて監査を厳しくすべきだ。もう1つは、薬価の見直しだ。せき止め薬や解熱剤は、薬価が低すぎて儲けが出ない。だから製薬会社は製造を渋るのだ。薬価の下げすぎは、製薬会社イジメに過ぎない。そこそこ採算の合う薬価に改定すべきだと思う。