「なぜ世界は存在しないのか」の著者で今世界でもっとも注目を浴びている哲学者マルクス・ガブリエルは「AIの内部は回路と電流だけで、思考が無い」と言っている。人間には主体的思考がある。すべての思考には、それを支える論理システムがある。思考は、論理システムのなかにのみ存在している。一方AIはあくまで人間の思考回路になぞらえて設計された機械であり、能動的、主体的な思考は出来ない。だからAIは思考出来ない、と。その結論が「AIの内部は回路と電流だけ」ということになる。一方話は変わるが、人間とコンピューターを繋ぐ事例も存在している。イーロン・マスクのニューラリンクだ。脳にチップを埋め込み、脳とコンピューターを接続する。そのヒト臨床試験の被験者第1号がノーランド・アーボーだ。アーボーは脊髄を損傷し動けなくなってしまった。口に加えた棒でiPadの画面をタッチすることでパソコンを操作していた。ところが、ニューラリンクによって、考えるだけでパソコンを操作できるようになったのだ。その結果、アーボーの人生は激変した。スピードチェス世界大会に招かれ、実際にパリまで遠征して数百人の観客を前に、念じるだけでチェスをプレイする様子を披露した。ニューラリンクは盲目を克服するテストにも取り組んでいる。まさに人間とコンピューターの融合が始まっている。
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