冤罪の検証を阻止する警察組織

東京地裁が大川原化工機の逮捕は冤罪と裁決したが、都・国側、大川原化工機側の双方が控訴し、東京高裁で審理が続いている。大川原化工機の社長ら3人は20年3月、軍事転用可能な装置を不正輸出したとして、外為法違反容疑で逮捕、起訴された。しかし、東京地検は初公判4日前の21年7月30日、起訴内容に疑義が生じたとして起訴を取り消した。東京地裁は、警視庁公安部と東京地検が必要な捜査を尽くさなかったとして違法と認定したのだ。何故違法に逮捕されてしまったのかを検証することは、再発を防ぐためにも極めて重要だ。起訴取り消し後、新たに着任した警視庁公安部外事1課は、捜査の問題点を検証するアンケートを捜査員に実施した。ところが、外事情報部長が「何をやってるんだ。そんなことはやるな」と外事1課長を叱責し、アンケート集計結果を廃棄してしまったとのこと。でも、この外事情報部長は、当時警視庁公安部長だったのだ。結局、己のミスが曝かれないように権力で抹消してしまったのだ。これでは、いつまで経っても冤罪は発生する。警察官の懲罰を担当する監察が調査すべきだ。さて、監察は動き出すのだろうか。でも、動きそうもない。警察組織の上層部のやりたい放題になっているようだ。