もし月が無かったら

眠れなくなるほど面白いシリーズの「宇宙の話:渡部潤一:日本文芸社」が実に面白い。「もしトラ」ではなく「もし月が無かったら」という話。学校で習ったように、地球と月は万有引力でお互いに引き合っている。この引力と、引き合いながら回るときに生じる遠心力が海の干潮と満潮を引き起こしている。この月の潮汐力は地球の自転スピードを遅くする作用をしている。もし月がなかったら、地球は1日8時間という猛烈なスピードで回転していたと考えられる。そうであれば地表も海も大荒れの状態で、現在の人類のような進化は望めなかったに違いない。また、地球の自転軸の傾きを一定に保ってくれているのも月の引力だ。地球は自転軸が約23.4度傾いた状態で太陽の周りを1年かけて公転している。月がなければ、自転軸がわずか1度ずれただけでも、その傾きは予測不能な変動を起こす。もし月がなかったら、地球の自転軸は不規則に変化し、大規模な気候変動が起こっていたはずだ。月こそが、地球に生命の誕生をもたらしたと考えられるのだ。地球は、月があってこそ奇跡の惑星なのだ。自然に感謝し、戦争などでいがみ合っている場合ではない。