腎機能を回復させる運動療法

これまで慢性腎臓病の治療は「安静第一」だったが、近年は運動療法が最も効果的であることが分かってきたという。腎臓は単に尿を作る臓器だと思っていたが、NHK番組「ヒューマニエンス」を見て、非常に重要な臓器であることを知った。腎臓は体の左右それぞれ背中側の腰上に位置する臓器。血液中の老廃物、水分、塩分、尿酸などをろ過して尿として体外に排泄するほか、血圧のコントロールなどを担っている。腎臓の正常さを測る尺度のひとつにクレアチニン値がある。クレアチニンは筋肉が運動する際排出される老廃物だ。腎機能が低下すれば尿中のクレアチニンが増えることになる。だから、腎臓の治療は安静第一だった。ところが、東北大学病院で始めた運動療法がクレアチニンと尿たんぱくを減少させ、腎機能を回復させることが分かったという。運動は「強度」が重要で「少しきつい」と感じるくらいの負荷が必要とのこと。腎機能を自力で鍛える1分体操を推奨している。基本の運動療法は壁プッシュで、腎臓への負担を減らす背筋反らし、腎臓周辺と足腰の筋肉を鍛えるレッグレイズ、腎臓の血流を促すバックブリッジ、をそれぞれ1分間に数回繰り返せば良いとのこと。骨格筋量の低下や身体の虚弱化も防げるので一石二鳥の療法と言えそうだ。