理系研究者の8人に1人が雇い止めされているという。2013年に施行した改正労働契約法では、一般の労働者について有期雇用の通算契約年数が5年を超えると無期雇用への転換を申し込め、雇用主は拒否できないと定めている。研究者については、研究活動が長期に及ぶため、5年ではなく特例で10年に設定され、2023年4月に節目の10年を迎えた。この改正の主旨は無期雇用を促すためだ。10年働いて貢献している人はもう無期雇用になってもいいでしょう、というのが法の精神のはずだ。ところが、無期転換を逃れるため法の趣旨を逸脱したクーリングが使われている。クーリングによって、いつまで経っても10年を迎えられないのだ。挙げ句の果て雇い止めされる。諸悪の根源は、大学の法人化と運営費交付金減額にある。言い方を変えれば、国は科学研究の芽を潰しにかかっているのだ。米国のように日本の大学が公募により競争的研究費を増やすのは困難だ。その結果日本の大学レベルは世界に大きく遅れてしまった。一方中国は科学文献件数で世界一になろうとしている。国から潤沢な研究費が支給されるからだ。大学の法人化を見直す時期が来ていると思う。
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