今年のノーベル物理学賞に伊東乾東大教授が異議を唱えている。人工的なニューラルネットワークによる機械学習を可能にする基礎的な発見と発明に対して、プリンストン大学のジョン・ホップフィールド博士とトロント大学のジェフリー・ヒントン博士が受賞した。ホップフィールド博士は、1982年にホップフィールド・ネットワークを提唱し、第2次AIブームの火付け役となった。だが、この仕事は1972年に発表された甘利俊一の仕事の焼き直しに過ぎないと断言している。また、ヒントン博士は、2006年の深層学習の成功で有名になったが、深層学習という発想はヒントン博士たちの試みの30年近く前に福島邦彦博士が発想、実装し実現していたものだと言う。ヒントンの研究室はAI大手を支える主要なエンジニアを多数輩出しているが、決して原点ではない。ノーベル賞は「本当の原点」を創始したパイオニアに授賞することとされてきた。ところが、近年は政治的忖度や利害でねじ曲げられている。本来、ニューラルネットワークを受賞対象にするのであれば、本当のパイオニアである甘利俊一、ホップフィールド、福島邦彦を授賞すべきと訴えている。同時に異議を唱えない日本政府に落胆している。選考者に科学的目利きがいなくなっているのかもしれない。
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