ヒスパニックと蜘蛛の糸

米大統領選が間近に迫ってきた。トランプ候補の支持者代表として黒人やヒスパニックが登場することが多い。何故、ヒスパニックが白人主義者のトランプを支持するのだろうかと以前から不思議に思っていた。すると毎日新聞の記事「元不法移民がトランプ氏に投票する理由」に一つの解があった。ヒスパニックは従来移民に寛容な民主党の支持者が多いとされてきたが、最近は厳格な国境管理を主張する共和党の支持者が多くなりつつあるという。かつては不法移民だったが米国籍を取得した元不法移民は「不法移民が新たに流入すれば、仕事も奪われ、治安も悪化するからトランプを支持する」と言っている。何かやるせなさを感じる。まるで芥川龍之介の「蜘蛛の糸」を彷彿とさせる。お釈迦様は、蟻を助けたカンダタに対し極楽から地獄に蜘蛛の糸を垂らし救おうとする。カンダタは登り始めるが、後から後から他の罪人が登ってくる。糸が切れてしまうのを恐れ、カンダタが「この糸は俺のものだ。降りろ」と叫いた途端、糸が切れて再び地獄へ落ちてしまったという話だ。さて、モシトラが実現した場合、トランプは如何なるヒスパニック政策を取るのだろうか。それが問題だ。