ゴミ焼却炉内の熱を逃がさないため断熱材にレンガが使われているが、エネルギーを98%も無駄にしているのが現状だ。レンガは、紀元前3500年に発祥したメソポタミア文明の頃から、そのすぐれた耐火性能が重宝されて建築材として使われてきたが、現代に至るまで殆ど進化していない。ところが、産総研セラミック研究グループが、98%の断熱性を備えたレンガを開発したという。技術のポイントは、熱伝導率が0.0241W/mkと圧倒的に低い空気を如何に多くレンガに取り入れるかだ。9割が空気で、残りの1割が原材料のセラミックスの断熱レンガに作製に成功したとのこと。まず高野豆腐のように、凍結後乾燥させて空気の孔を作り、焼き固める。ところが、孔は不規則に空いてしまう。そこで氷を成長させないようにして生体の凍結や再結晶を防ぐ不凍タンパク質を添加することにより、均質な孔を造ることに成功したという。こうして生まれた断熱レンガを製造する工場を現在建設中だという。これが鉄鋼業やセメント工場、窯業などの炉、あるいはゴミ焼却炉などで利用されるようになると、とてつもない違いが明らかになるはずだ。なにしろ、これまで捨てられてきたおよそ99%もの熱エネルギーが再利用できるのだ。そして二酸化炭素の削減にもなり、燃料費の削減にもつながるのだ。世界を変えるイノベーションであることは間違いない。
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