いま世界中の森林で大規模伐採が行われ、急速なペースで自然が失われている。米・タイム誌の「世界で最も影響力がある100人」に選ばれた森林生態学者のスザンヌ・シマード氏が警鐘を鳴らしている。大きな木を伐採することは、地球温暖化の抑止や森林の生態系の維持に問題があると言う。大きな木は光合成量が多いので、大気中にたくさんの酸素を供給し、土壌に大量の炭素を蓄えることが出来る。森林は陸上で蓄えられている炭素の6~8割を貯留している場所で、地球の炭素循環において、非常に大きな役割を果たしている。いま世界中で行われているような大規模伐採を続けると、森林で貯留している炭素のうち最大7割が大気中に放出されるということが研究で分かってきている。つまり、木を切るだけで、地球温暖化を急激に進展させるほどの事態を生み出してしまうのだ。木質ペレットを燃料に使うバイオマス発電は、化石燃料を使うよりも二酸化炭素の発生量が少ないからエコだとして近年大きく伸びている。だが、この考えは単純で間違っている。森林は本来「炭素を貯めてくれる場所」なのに、その森林を伐採して貯める場所を無くし、更に、伐採した木を燃やし二酸化炭素を空気中に放出している。ダブルの過ちをしているのだ。更に、大きな木は森林の地下に広がる菌根菌ネットワークで全体を支配している。同時に、多様な動植物の生息地としても重要だ。大きな木を切る行為が、地球環境悪化を招くことを全世界に知らしめるべきだろう。
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