プルラリティ vs シンギュラリティ

オードリー・タンが、今年5月にデジタル担当相を退任した。いち早く新型コロナ対策を構築し、台湾をコロナ対策先進国に押し上げた。退任後は何をするのか興味があった。現在タンは、新著「Plurality(プルラリティ)協働テクノロジーと民主主義の未来」を携えて世界各地を巡っているという。プルラリティとは、多元共生とでも訳せば良いだろうか。プルラリティはウィキペディアと同じ仕組みのオープンソース形式を採用しており、誰でも作中のアイデアを取り上げて、検証や修正、発展させることが出来る。テクノロジーを通じて文化や社会の分断に橋を架けるための協働作業とも言える。プルラリティの対立語がシンギュラリティだ。シンギュラリティとは、人間の脳と同レベルのAIが誕生する時点を表す言葉だ。AIの能力が人間を超えることとも言える。孫正義氏は、シンギュラリティは人類史上最大の革命ビッグバンであり、シンギュラリティによりすべての産業が再定義されると主張している。そうはならないと考えているのがタンのプルラリティなのだ。タンのプルラリティが広がり、真の参加型民主主義が定着する未来を期待したいものだ。