減反から増反へ

昨年は2000円だった5kgのお米が、今は3000円に値上がりしている。米不足だけでなく、値上がりしているのだ。政府の米の政策の経緯を見ると、その原因が見えてきた。1942年に東條内閣が食糧管理法を制定し、政府が米を公定価格で農家から買い取り、食糧営団を通じて配給する食糧管理制度がとられた。戦争直後の飢餓状態を脱して生産も消費も落ち着きを取り戻したが、生産者から高く買って消費者に安く売ることによる逆ザヤ負担が耐え切れないほどに膨らんだ。そのため、政府は反転して、減反政策を1970年から2017年まで続けた。その結果、収穫量は1,426万tから661万tに半減した。需要量の702万tを大幅に下回ってしまったのだ。米不足とする直近の理由は、南海トラフ地震臨時情報発出による買い占め、外食・インバウンド消費の盛り返し、網下米不足による業者の主食用米買い付け、と言われている。しかし、それらは些細な理由で、元凶は政府の米政策の失敗にあるのは明白だ。米供給と価格を安定化させるには、米政策を大転換させることが必要だ。日本の米は美味い。外国にも高く売れる。減反から増反への反転こそが、米農家を救い、日本の食糧自給率の向上に一役買うことになるはずだ。