江戸時代の肥料リサイクルシステムの再来

名古屋市は「下水は宝の山」と考えたとのこと。下水処理の過程で出る汚泥を肥料に生まれ変わらせたのだ。汚泥には、植物の育成に不可欠な「窒素」や、大半を輸入に依存し価格が高騰する「りん」が豊富に含まれている。これまでも肥料成分が含まれていることは知られていた。だが、成分にばらつきが大きく、ニッケルなどの有害物質も含まれることから、活用されることは少なかった。また、他の肥料に混ぜての生産・販売も認められていなかった。ところが、ウクライナ危機や世界的な穀物需要の増加の影響で、りんなど肥料の原料価格が高騰。こうした状況を受け、国は昨年、下水汚泥を積極利用することに方針を転換。作った肥料の品質を定期的な成分分析で保証することを条件に、幅広い流通が認められるようになったのだ。これまで汚泥は焼却灰をセメントの原料にしたり、乾燥させて固形燃料などに再利用されてきた。輸入に頼り高騰する肥料に転換出来れば、まさに「下水は宝の山」だ。江戸時代の肥料リサイクルシステムの再来とも言える。