嗚呼、歯医者

今から20年近く前、テニス仲間の歯科医師が「子どもを継がせることはない」と嘆いていたことを思い出す。当時自分は「歯医者は外車に乗っているし、稼ぎの良い職業なのだろう」と思っていた。だから、お子さんを継がせるのでしょう?と質問すると「とんでもない。歯医者は増え過ぎで、ワーキングプアとなりこれからの未来はありません。だから継がせません」と答えられたのが意外だった。その後はその歯科医師の仰る通り、歯医者は過剰で稼げない不人気職種になってしまったようだ。ところが、最近は受験生が目指す狙い目の職種に転じているとのこと。目下の歯科医療の現場では、すでに不足している歯科衛生士や歯科技工士に続いて、歯科医師も「将来の不足」が懸念されているのだ。20歳と30歳に対する歯周病検診が2024年4月から始まった。しかし、すでに実施されている40~70歳の受診率はわずか5%。歯医者嫌いの日本人に「国民皆歯科健診」の導入が検討されている。自分が若い頃「歯医者は痛い思いをして虫歯を治すだけ」と思っていた。でも、年を取ると「歯は栄養を摂るための重要な道具」ということが今更ながら分かってきた。これからの老人主流時代には、歯医者は欠かせない職種になるのは間違いないと思う次第。