北海道夕張市が財政破綻してから17年が過ぎた。国の管理下のもと、公共施設の廃止や縮小、職員の削減や減給などが行われ、住民サービスに大きな影響が出たと当時報道されていた。病院も例外ではなく、市内で唯一の総合病院であった病床数171の夕張市立総合病院は病床数19の診療所に縮小された。診療所の電気はほとんど消えていて、CTの機械はあるが、部品を買えずに使用不可に。これでは医療崩壊だ、死人続出だと騒がれた。ところが、医療は崩壊しなかったとのこと。夕張市で唯一の総合病院が失われた後も、平均寿命が短くなることもなく、毎年の死者が増えることもなかったという。一方で劇的に変わったのは死因だったとのこと。心疾患・肺炎の死因が減り、その分、老衰が増えたのだ。要するに、何か具合が悪いと病院行ったら病名がつく。病名がつくと薬が出て、いろんな治療をする。一方、家でちょっと心臓の具合が悪いかな、息切れするな、でもまあいいかと、街のクリニックで診てもらって、ちょっとした薬をもらった程度で家で死ぬと、病名がついていなければ老衰になる。働き盛りの年代は別として、歳を取ってくると病気なのか、歳を取ってきたから部品が傷んできたのかの区別はできない経年劣化なので高度医療はオーバースペックだ。夕張は「あまり極端に医療や介護に依存することなく、自分で静かに生きていく」という新しい死生観を生み出したようだ。
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