社外のカイゼンは苦手なトヨタ

豊田章男会長の「本社の海外移転も考える」発言が、波紋を広げている。交通安全祈願の催しの後に「自動車業界が日本から出ていけば大変になる。ただ今の日本は頑張ろうという気になれない。ジャパンラブの私が日本脱出を考えているのは本当に危ない」と語ったことが、切り取られ朝日新聞が報道したからだ。トヨタは型式指定の認証不正問題が発覚し、不正があった3車種の生産停止が3ヶ月続く。自動車評論家は「不正と言うよりはミスに近いが、国交省が不正だと騒いでメディアの報道に火をつけ、事を大きくしている」と指摘している。豊田会長は不正発覚後の会見で、国の認証制度について時代に合わない基準や不明確なルールが多く現場に負担がかかっているとして、制度改善の必要性を主張した。それが国交省の逆鱗に触れているという構図のようだ。確かに、国交省の認証制度は時代遅れで実情にマッチしていない。お役所仕事の典型なのだ。間違いなく、非は国交省にある。でも、だからといって、天下のトヨタが海外移転をちらつかし、脅しをかけるのはどうなのだろうか。豊田会長は昨年まで7年間も日本自動車工業会の会長をしていたのだ。会長の仕事をしっかりやっていれば、認証制度も改善されていたはずなのに。トヨタはカイゼンが得意だ。でも、社外では苦手なようだ。