トヨタ会長のガバナンス能力は如何に

豊田章男トヨタ会長の株主総会での信任率が72%と急激に低下している。日本企業で初めて営業利益額が5兆円を超えた実績ができたものの、トヨタグループ内で不正問題が立て続けに起こりガバナンス能力が問われ、かつ経営スタイルに疑惑が持たれているからだ。グループの日野自動車、ダイハツ工業、豊田自動織機に続き、トヨタ本体でも認証試験不正問題が発覚した。本人はモータースポーツに現を抜かしているが、企業統治が出来ていない。むしろ、トヨタ本体の計画有りき主義がグループ会社を不正に走らせている。総会で問われると、何と本人は「今後は院政を敷く」と言う。更に「院政というと老害のようなネガティブなイメージがあるが、本来の院政はむしろ、新しい時代を切り開く気概に満ちたものである。元々院政とは、後三条天皇が摂関政治からの脱却を図るため、働き盛りのうちに譲位されたことが始まりだ」と宣ったとか。すると、矛盾が生じてくる。章男本人が社長・会長時代はワンマンで摂関役はいなかった。摂関役は本人だったとも言える。本人が本人の能力を否定しているのだ。本人が院政を敷いても何も変わらない。むしろ、不透明さが増すばかりなのだ。結局、院政宣言はガバナンス能力の欠如からの逃げでしかなさそうだ。完全に勇退することこそ、明日のトヨタの糧になるはずだ。