トップが責任を取らない悪習

防衛省が218人にも及ぶ処分を発表した。問題なのは、国の安全保障に関わる特定秘密の不適切な取り扱いで121人が処分されたことだ。特定秘密保護法は、防衛や外交など4分野の情報のうち、漏えいすれば安全保障に支障をきたす恐れがあるものを「特定秘密」と定めている。特定秘密に指定された情報を扱う人は犯罪歴などを調べる適性評価をクリアする必要があるが、今回は資格がない隊員が特定秘密を知り得る状態にあった事例が多数確認された。責任を取って海上幕僚長が退職したが、木原防衛相は大臣給与を1カ月分自主返納するとしたが、辞任は否定した。また、兵庫県では斉藤知事のパワハラ疑惑で局長が自殺した。副知事は、知事に辞職を進言したが拒否され、自身が辞職した。斉藤知事は頑として辞職を拒んでいる。日本ではよく見られるトカゲの尻尾切りだ。木原防衛相も斉藤知事も、トップとしての責任を取り、辞職すべきだ。岸田首相は裏金事件で責任を取らない見本となったのだから、推して知るべし。もっとも、トップが責任を取らない悪習は、安倍政権時代に培われたものであることは間違いない。