法案をめぐる議論が的外れなまま政治資金規正法が改正された。結局、裏金の温床となったさまざまな抜け穴はほぼ丸ごと温存されたまま終わってしまったのだ。何故このような事が起こったのだろう。議員も国民も誰一人として最終案の条文を見ていないからだ。国会に提出された法律の改正案は、条文の形では書かれていないのだ。元の条文に対して「何条の何項にxxを足す」とか「何条の何項の○○を削除する」といった形で現行法からの変更点が羅列しているだけなのだ。今回の修正箇所はA4で20頁に及ぶ膨大なものだった。恐らく、最終案を条文にして読んだ者は一人もいなかったに違いない。内閣が提出する閣法の場合は、条文、理由、要綱、新旧対照表、参照条文の5点セットと呼ばれるものが公開される。しかし、政治資金規正法改正は議員立法だったので、情報公開法が適用されないルールになっていた。自民はこれを悪用して、5点セットを公開していなかったのだ。何と日本の国会では立法に関係する文書が公開対象になっていないのだ。情報公開法を作った国会が、最も情報公開に後ろ向きなのだ。実は何も文句を言わず情報公開法を改正しない野党も、自民とグルだったということのようだ。
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