完成間近なマンションを建設会社が自ら取り壊すという前代未聞のニュースが飛び込んできた。決して建築基準法違反ではない。景観が悪くなるという市民クレームの圧力によるものだという。国立市の富士見通りに建てている積水ハウスの10階建てのマンションが、通りから見える富士山の半分を隠してしまうだ。国立駅前が造成された時、正面に富士山が望めるよう斜めの道を作ったのが富士見通りだ。一応国立市のシンボルかもしれない。しかし、国立市が殊更富士山の現地で景観活動したなど聞いたこともない。しかも、富士見通りは電線の地中化をして景観を守っている風もなく、蜘蛛の巣状に見にくく電線が垂れ下がっている。どう見ても、国立市民が富士見通りの景観を守ってきたようには全く思えない。唯々今まで見えていたものが見えなくなってしまったという市民エゴそのものなのだ。全国に、富士見通りとか富士見町と名の付く場所は数多くある。昔は富士山が見えたに違いないが、現在はビルがそびえ立ち殆ど見ることは出来ないのだ。時代の流れだから、誰も文句を言えないのだ。結局、市民エゴで富士見通りの富士山は残ったが、国立市の市民エゴも歴史に刻まれることになってしまった。
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