「お金に色はない」という言葉がある。良いことをして得たお金でも、悪いことをして得たお金でも、同じ額面なら同じ購買力があるからだ。お札が入れ替わっても、額面が同じなら価値は不変だ。ところが、同額でも付加価値が変わるケースもある。鎌倉のカヤック社長が電子マネーで地域通貨の実証実験をしている。単なる地域限定の商品券ではなく、お金では測れないものを測る「別の価値の尺度」を提供することを目標に掲げている。たとえば、海岸のごみ拾いに参加するとコインがもらえ、それを使って市内で収穫された規格外の野菜を買える。通貨といっても用途は限定されるが、海をきれいにした上で食品廃棄も防げるなど、単なる財・サービスの交換以上の価値が生まれる仕掛けだ。社長が目指すのは、流通量が増えるほど地域の人間関係が豊かになっていくような新しいお金だ。鎌倉市内の利用者は1万人を超え、全国20自治体以上で展開しているという。全国津々浦々に展開すると、日本中が見違えるほど生き生きとした社会になるに違いない。
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