量子科学技術研究開発機構との国際共同研究グループが、レーザー光によるイオンビーム発生で世界最高速度となる光速の約50%を達成したと英科学誌ネイチャー・フィジックス電子版に発表した。粒子線がん治療は大規模な加速器と専用の建物が必要で、普及を妨げる要因の一つとされている。この研究で、大規模な加速器を使わずレーザー技術のみでがん治療に必要な速度のイオンビーム発生が期待出来るのだ。超小型の粒子線がん治療装置の実現につながることになる。レーザー光の条件を最適化しイオンを多段階で加速させる手法を用いたという。第1段階はレーザー光を照射した薄膜の前面でイオン群が加速。第2段階は薄膜の裏面側に残ったイオン群が自ら作る電場により加速が進む。第3段階は先に加速したイオン群が後から生成したイオン群との反発力でさらに加速する、という原理とのこと。従来のX線は入り口の線量が最大で深くなるほど減弱してしまう。だが、粒子線はがん病巣を狙い撃ち出来、有効性も高いが、更に周辺の正常組織への影響も小さくなる。夢の粒子線がん治療は、もうそこまで来ている。
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