著名人の画像や名前を使った「なりすまし広告」による詐欺被害が深刻だ。今年配信した投資広告のうち、半数以上がなりすましとみられているという。警察庁によるとSNS型投資詐欺の被害は、2023年に認知されただけで2271件、総額約277億9000万円にのぼった。1件当たりの被害額が1000万円超と高額なことも特徴だ。実業家の前沢友作がメタ(旧Facebook)に抗議した。しかし、メタの回答は「これまでもしっかり取り組んできたが、詐欺広告の根絶は難しい。今後も取り組んでいく」というもので、埒があかない。SNS型投資詐欺は世界的に問題になっている。EUは偽情報などの違法コンテンツの削除を巨大IT企業に義務付けたデジタルサービス法を導入している。しかし、日本では明確な法規制がなく、取り組みは事業者側の自主性に委ねられているのが実情だ。要するに、詐欺をする者もメタも日本をナメているのだ。結局「何もしない」ことが詐欺や悪質商法を行う者たちにとって、追い風となっているのだ。遅ればせながら政府は今国会に、他者の権利を侵害した発信者の情報を開示するよう定めたプロバイダー責任制限法の改正案を提出する。もっと世界と歩調を合わせてSNS型投資詐欺の撲滅を図るべきだと思うのだが。
コメントをお書きください