食物アレルギーの増加が顕著だ。米疾病対策予防センターCDCによると、2000年から2018年の間に、食物アレルギーを持つ子供の割合はほぼ倍増した。英BBCによると、工業化した国を中心に、食品アレルギーは過去30年間で急増した。また、アレルギーを引き起こす食品の範囲も広がっている。かつては牛乳やナッツ、甲殻類が中心だったが、いまではあらゆるものへの反応が報告されるようになった。では何故無害な食品までもがアレルギーを引き起こすようになってしまったのだろうか。米ノースウェスタン大学助教授が3つの仮説を提案している。1つは、皮膚が特定の物質に反応するようになること。皮膚がある物質に反応するようになると、それに類似した食品にアレルギーが出やすくなると考えられる。ピーナッツやエビが代表例だ。1つは、古典的な寄生虫がいなくなったため、マイナーな脅威に対応していること。サナダムシなどが根絶し、暇になった免疫システムがやることを探し、クルミやシラカバの花粉に反応するようになった。もう1つは、早期に原因物質を遠ざけたため免疫がそれらを適切に認識できなくなっているというもの。ピーナッツの早期暴露がアレルギーの発症率を大幅に低下させることが判明したという。アレルギーには分からないことが多い。本来体を守る免疫が力を持て余し、過剰反応で体を攻撃しているようだ。環境が改善される時代と共に働き者の免疫を抑えることが必要なのかもしれない。
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