関東大震災から100年目を迎えた。NHKが当時の白黒映像を8K高精細カラー化し、生々しい状況が蘇り、恐ろしさが迫ってくる。でも、地震予知研究は進んでいない。1970年代は東海地震の警戒一色だった。当時自分は静岡に住んでいたので、身の回りは地震対策一辺倒だった。その体制も空振りという結果で2017年に終了した。2011年には思いも掛けず東日本大震災が発生した。地震学者は予知は不可能とまで言い出し自信を無くした。そして現在は東南海地震が注目されている。政府は、30年発生確率70~80%と発表し対策を呼び掛けている。ところが、当時の政府の発生確率検討委員会の委員だった鷺谷名大教は「発生確率70~80%は科学的に正しくない」と告白している。南海トラフ地震のようなプレート境界で起きる「海溝型地震」は全国6カ所で確率を出しており、算出には過去の地震の発生間隔を平均して割り出す「単純平均モデル」という計算式が使われている。だが南海トラフ地震だけは「時間予測モデル」という特別な計算式が使われているのだ。東南海地震の発生確率を単純平均モデルで計算すると20%になる。地震学者らは、時間予測モデルに猛反対し単純平均モデルの方が科学的に正しいと主張した。しかし、行政・防災側が「20%では予算が取れない」と主張し、最終的に70~80%に決まったという。地震予知が難しいとはいえ、科学的根拠を無視したのでは、日本トータルとしての地震対策が歪んでしまう。もし、東京大震災が起きれば、70~80%にねじ曲げた行政・防災側の委員らは大きな罪を背負うことになる。
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