GDPに見直しの動きがある。5月のG7財務相・中央銀行総裁会議でノーベル経済学賞受賞者ジョセフ・スティグリッツ米コロンビア大教授が講演した。GDPは各国の経済規模を測る共通の尺度として使われており、その増減は経済が成長したかどうかの目安となっている。スティグリッツ教授は、GDPに反映されない経済活動が大きくなっており、GDPが時代の変化に対応できなくなっていると指摘している。GDPとは、一つの国で一定の期間内に生み出された製品・サービスの付加価値の総額だ。国民経済計算SNAと呼ばれる国際基準に沿って算出される。だが、お金に換算するのが難しいものや、お金に換算する手法が定まっていないものを反映するのが難しいという欠点がある。例えば、デジタル分野だ。プラットフォーマーは無料でSNSを提供し、引き換えに収集した利用者のデータで利益を得ている。SNSの利用者が利用者を呼び込みプラットフォーマーの収益を押し上げているが、無料サービスの価値はGDPに反映されていない。この無料サービスだけでも、日本のGDPを1~3%押し上げると試算されている。このほか、家事や気候変動に関する活動、社会の持続可能性など、近年、注目が集まる経済活動もGDPに反映されていない。GDPは20世紀で最も偉大な発明の一つと言われていたが、色褪せてきた。ブータンの国民総幸福GNHを参考にして、GDPを豊かさの指標に衣替えしたらどうだろうか。
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