菅義偉前首相が、総務大臣の時代に提唱した「ふるさと納税」の総額目標を2兆円だとぶち上げた。ふるさと納税の寄付額は過去最高を更新し続け、昨年度は1兆円に迫る勢いまで膨らんだ。元総務大臣として制度の生みの親である菅は余程嬉しいのだろう。だが、返礼品競争や納税額の多い高所得者ほど優遇されるなど、制度の歪さが常々問題になっているのが現状だ。ちょっと無神経過ぎる。と言うよりは、こんな歪な制度を政治的な手柄だと考える首相経験者には、呆れるばかりだ。「ふるさと納税」は、本来出身地やゆかりのある地域を応援する制度だったが、現実は自治体が運営する官製通販となっている。仲介サイトに欲しい商品名を入力すれば、それを返礼品としている自治体名がズラリと出て来る。高所得者が欲しい返礼品を得るための制度になっているのだ。そして、納税先が地方自治体になっても、地方自治体が潤う訳でもない。地方を豊かにする効果は無いのだ。一方で、地方交付税による補填のない東京23区は、住民税の減少で老朽化した公共施設の建て替えなどへの影響が懸念されている。行政サービスの低下が、ふるさと納税とは無縁で公的サービスに依存している人を苦しめている。ふるさと納税は、一刻も早く止めるべき制度といえる。
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