中学・高校の世界史の授業で思いで深いのは「くさび形文字」だ。半世紀以上前に習った時は、解読が出来ていないとのことだった。でも未だに解読は進んでいないようだ。ところが、イスラエルの考古学者とコンピュータ科学者が今流行りのAIを使って翻訳にトライするとのこと。アッカド語の「くさび形文字」は、古代メソポタミアで紀元前3000年頃から使われていた言語だ。アッカド語は紀元前2000年頃に、バビロニア語とアッシリア語という二つの方言に分かれ、紀元前6世紀頃からはアラム語に取って代わられ、徐々に消滅してしまった。現存する石板は50万枚近くあり、その大部分が解読されていないという。解読が進めば、人類の歴史のもっとも初期、アッカド人の文明や信仰、そして彼らが何を話し、何を書き留めようとしたのかを知ることが出来る。しかし、AIで解読するといっても、問題は山積みだ。デジタル化された石板は数万枚しか無い。AIに学習させるには少な過ぎるのだ。またアッカド語が存在した3000年間に文字自体が大きく進歩し、初期と後期ではくさび形文字自体が異なるのだ。更に、言語の構造が英語とは根本的に異なるのも厄介だ。それが一語ごとの翻訳を不可能にしているので、文の要素を再構築しなくてはならない。でも、解読作業はAIの得意分野だ。成功すれば、世界史が生まれ変わるかもしれない。
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