「齋藤孝の大人の教養図鑑」が面白い。知識とは次から次へと繋がるものだとして、フロイト→ユング→錬金術→ニュートン→ゲーテ→モネの大ジャンプを紹介している。自分が興味を引いたのは錬金術。錬金術とは、銅や鉄などの卑金属から金をつくりだすという技術のこと。エジプトのアレクサンドリアで発祥したとされ、ヨーロッパでは14~15世紀に流行したが、17世紀には近代科学の発展と共に衰えた。この本によると、ユングは自身の精神分析と錬金術との間に密接な類似を見いだし、晩年には錬金術関係の研究に没頭したとのこと。ニュートンは、早い時期から錬金術に没頭しており、死後、錬金術に関する膨大な資料も発見されている。ニュートンは錬金術研究を通して、物質の根源、生命の本質を探求していたらしい。近代科学が成立するまでは、錬金術も知識を求める一つの方法だったのだ。錬金術は現在ではオカルト的なものと見られているが、その発展と流行の過程で、塩酸や硫酸、硝酸などの化学物質が発見され、るつぼや蒸留器などの実験器具も発明された。錬金術のお陰で現代の化学があるのだ。長年化学に携わってきた自分にとって、錬金術が自分の故郷に思えてきた。
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