日銀の植田新体制が10日にスタートした。就任会見で「物価目標2%達成のため当面金融緩和を続ける」と表明したが、早くも手詰まり感が漂っている。世界各国の懸念はインフレから景気後退へとシフトしつつある。米国の利上げは5月でいったん停止し、景気次第では年内の利下げもささやかれている。再び金融緩和へと向かう世界の潮流に逆行し、植田は周回遅れの引き締めを決断するのだろうか。決断出来るはずがない。さりとて、日本の金利はゼロ%だから、金利を引き下げる手段も無い。だから、植田には、持論の時間軸効果説に従って何もしない時をやり過ごすしかない。でも、そもそも日銀が物価目標2%を掲げることが正しいのだろうか。物価は需給バランスで決まる。物価を左右させる政策を打ち出せるのは財務省であり、日銀ではない。財務省が物価政策を実行し、それを側面から助けるのが日銀だ。でも、鈴木財務相は物価政策に及び腰で、植田は打つ手が無い。財務省がサボり、日銀が勘違いしているという構図に見える。アベノミクス3本の矢は、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略だった。日銀は大胆な金融政策で独り相撲し、政府は財政政策と成長戦略に知らん顔の半兵衛を決め込んでいる。日本の行く末は暗い。
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