政府が「異次元の少子化対策」のたたき台を公表した。たたき台はまさにたたき台で、総花的だが核心を突いていない。茂木幹事長の児童手当の所得制限撤廃案を入れたり、菅前首相の出産費用の保険適用も入れた。自民幹部の思いつきがメインになり、それに育児休業給付を手取りの10割相当に引き上げることと、親の就労の有無にかかわらず、保育所を利用出来る制度を検討する等をプラスアルファで加えた程度だ。全く異次元のレベルではない。したがって、閣議決定は出来なかった。よって、政府は小倉こども政策担当相の試案との位置付けでお茶を濁すことになった。まあ、それだけならば、少し前進だろう。ところが、小倉こども政策担当相が蛇足を付けた。「こども家庭庁のもとで国民運動を今年の夏ごろをめどにスタートする」と言う。子連れの人たちが列に並ぶことがないよう「こどもファスト・トラック」を公共施設や銀行や商業施設などに設けるという。社会全体で子育てを応援する機運を醸成する狙いがあるとしているが、やぶ蛇だ。小池都知事の「○○ファスト」と同じ類いだ。かけ声だけで中身はゼロ。少子化対策とは、安心して子どもを産み育てる環境を整えることだ。「こどもファスト・トラック」が、国民に少子化問題を訴えるはずがない。むしろ、利用者から反感を買うマイナス効果しか無いのが何故分からないのだろう。
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