2023年春闘が事実上スタートした。十倉経団連会長は「賃金と物価の好循環を実現する必要がある」と表明し「企業の社会的責務として、賃金引き上げへ積極的な対応を会員企業に呼び掛ける」と強調した。一方芳野連合会長は「労使が力を合わせ、日本の未来をつくりかえるターニングポイントとすべきだ」と主張した。連合は、ベア3%+定昇2%=5%の賃上げを目指している。如何にも、十倉会長の発言は賃上げに前向きのようだが、そうでもない。というのも、経団連が公表した経営労働政策特別委員会報告では、5%程度の賃上げを掲げる連合の要求は過去約10年の実績との乖離が大きいと、難色を示していたからだ。折角日本が30年間の遅れを取り戻すスタートになる年かもしれないのに、初めから食い違っている。更に、中小企業からは「大企業の大幅賃上げは中小企業にしわ寄せが必ず出てくる」と否定的だ。連合にしても、今まで経団連に同調し、賃上げを抑制してきた片棒だ。結局、経団連も連合も中小企業も、大幅な賃上げを望んでいないのだ。今年の春闘も、闘う前から結果は判明している。残念。
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