日本自動車工業会の豊田章男会長が「なぜ日本人の給料が上がらないのか」について持論を語った。以下その要旨「自動車・部品産業は2009年以降、賃上げ率は約2.2%/年となり、着実に給料は上がっている。しかし、上がっているのは自動車関連産業550万人のうち3割で、残りの7割は話し合いの場すら無い。毎年連合と経団連が話し合いをしているが、全労働者の8割は連合に属さず蚊帳の外だ。日本全体の賃上げを達成するためには、話し合いの場すら無い8割の人にどう影響を与える活動をしてゆくかが大切と考えている。マスコミは、春闘でこの8割の人の賃金交渉の場作りに光を当ててほしい」。如何にも正論のように聞こえる。だが、そうだろうか。日本の賃上げ構造は、自動車産業が主導して賃上げ幅を決めてきた。内部留保が積み上がるほど儲けてきた。実力では5%/年も可能なのに、連合と経団連が結託して賃上げを1~2%に抑えてきた経緯がある。自動車産業の賃上げをMAXとして、大企業、中小企業の順でMAXの数割ダウンで妥結することになる。自動車産業が1~2%では、零細企業の賃上げは望みようもない。自動車産業が毎年5%程度賃上げしていれば、日本人全体の給料は上がっていたはずだ。日本人の給料が上がらなかったのは、連合と経団連によるところ大と言える。
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