所変われば品変わる

表、裏そして表と手のひら返し。ドイツに勝ち、コスタリカに負け、スペインに勝ったサッカーW杯のサムライブルーへの日本国民の反応だ。森保監督は「勝負の世界では評価の手のひら返しは当たり前。国民がサッカーに興味を持ち、議論してもらえることをうれしく思う」とコメントした。手のひら返しをするのは日本国民がサッカーに熱情を抱いているから。同時に、森保監督はプロフェッショナルだなと感じた。ところが、所変われば品変わる。ドイツではサッカーW杯が盛り上がっていない。元々人種差別が取り沙汰されているカタールでやることが妥当なのかと批判的だ。一方で、ドイツイレブンはOne Loveの腕章着用が認められなかったことに対し、試合前の記念写真で口を覆うポーズをとった。これに対し、スポーツに政治を持ち込むなという批判も挙がっている。ドイツは両論両立で錯綜している。イランはもっと極端だ。イランは宿敵米国に敗れたというのに、イラン国民は大喜びとのこと。イランでは、ヒジャブを適切に着用せず服装規定に違反したという理由で警察に逮捕された女性が拘留中に死亡した。全国的な抗議行動となり、反政府デモが続いている。サッカーのイラン代表は「体制の犬」と見做されているのだ。ドイツもイランも、女性やLGBTQの人権を問題にしている。ところが日本はスルーして、サッカーの勝ち負けに一喜一憂だ。考えさせられる現象だ。