米ペロシ下院議長の台湾訪問に対し、中国が反発し台湾周辺で大規模な軍事演習を実施した。台湾を取り囲む6か所で実弾演習を行い、弾道ミサイル5発が日本の排他的経済水域に落下した。米中間の歩み寄りの気配があったのに、再びいやそれ以上に緊迫化させている。ペロシの訪台の目的は何だったのだろうか。正式には「台湾の民主主義を支援するため」と声明を発表している。裏では、下院議長退任間近でレガシー作りとも言われている。でも、真の目的は「米国の半導体産業強化」だろう。米中対立が激化する状況下で、米国は安全保障上の観点から半導体サプライチェーンの確立を急いでいる。米国は半導体の設計や製造装置などでは世界をリードしている。だが、生産が台湾や韓国などアジアに偏っていることがリスクになっている。米下院はペロシの訪台前に、半導体の製造や研究に527億ドルの補助金を投入する法案を可決した。一方、半導体受託生産で世界最大手の台湾積体電路製造TSMCは米政府の強い要請で120億ドルをかけてアリゾナ州で工場建設を進めている。補助の対象になるのは確実だ。ま、ペロシはTSMCに念押しするために訪台したと見るのが妥当だろう。従って、ペロシの訪台の目的は、第1は半導体、第2はレガシー作りで第3が民主主義と言えそうだ。
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